教育のグランドデザインについて
グランドデザインとは、教育スタートから終了までを俯瞰し計画を立てること、
総合教育プランということを前日のブログで述べたのですが、日々の業務のなかで、
海を隔てて離れている親・子と接していると、グランドデザインを支えている
精神がいかに大切かということを痛感します。
あくまでも私の個人的感覚ですが、お母さんと今後のことなどについて
話した後に、留学先の本人と話すと、両人が必要としている情報を
提供しながら、子どもたちのリアクションやそのことばに、わたしは
この子が生きてゆく「バックボーン」を感じます。
バックボーンとは動作の起点を作る「骨格」です。
これがゆがんでいると、当然、正常な動作に支障が起きるわけです。
筋肉であれば、鍛えたり、増強したりできますが、
その基礎となる土台は簡単には鍛えることも増やすこともできません。
そこにグランドデザインの原点を見出します。
あるお母さんとの会話です。
「兄が留学したのを期に、妹の留学を考えてみたいと思います」
― 妹さんはおいくつですか
「今、中2で来年、中3です」
― 妹さんの留学を考えたきっかけは何ですか
「そこそこの中高一貫校で大学を目指して、勉強してはいるんですが・・・、
兄をみていて、本人から留学したいと言い出したんです。」
― そうですか。妹さんの留学、何か問題があるのですか
「このまま上がっていって、国立に行って、医学部なんかに行く子が多いん
ですけど・・・。それでいいのかなって思っているんです。
兄の様子を見ていて、彼女も考えたのでしょう。楽しそうだと・・・」
― そうですね、お兄さんは確かに努力している、留学して間もないから、
とても大変な時期です。先生から質問に来なさいと言われても、何を質問
して良いのかわからないと言っていました。それほどに大変でも、
留学してよかったと思えるところがすごい。伸びますよ、彼はこれから。
苦労を受け止められるから。
勉強はこころのスイッチが入れば、自力でできるものです。
「そうなんです。私も最近そう思うんです。」
― でも、お母さん、2人とも留学ではお金が大変ですね。お父さんは
賛成されているんですか。
「ええ・・・。老後の心配を今からするより、私たちはのたれ死してもいいから、
子どもたちが望むのであれば、子どもの望む教育を受けさせたいです」
いろいろなお母さんを見てきましたが、お母さんのこころの奥底には、
子どものためなら命も投げるという精神が流れていると思います。
日々の社会の喧騒のなかで、そのような研ぎ澄まされた精神は、
自然に丸くなり、密度も薄くなり、忘れられがちですが、
私はお母さんたちの「捨て身」を、いろいろな場面で見たり、聞いたりして、
自分の「教育」に対するバックボーンを作ってきたように思います。
教育のグランドデザインを支えているのは、実は知識や情報を
使いまわせるだけの柔軟なこころであると思います。もちろん、そのこころ、
親の子に対する愛と言い換えることも可能です。
そして、家族のこころが通じ合えばあうほど、どこに行ってもやってゆける
人間に子どもたちは成長すると思います。
それが、私の考える教育のグランドデザインのゴールです。