日曜コラム-剣道エクササイズ
家内の勧めで子どもたちと始めた剣道ですが、早いもので16年が経ちました。
当時小学校2年生と年長だった息子たちは2人とも社会人となり、
父だけがそれ以来ずっと剣道を続けています。
学生時代は、体育会のスポコン的練習をけぎらいしていたので、
運動部とは全く縁がなかったのですが、大学時代、アルバイト先で始めた
テニスをきっかけに、留学時代以降、何か体を動かしていないと
落ち着くことができません。
40代になってから、剣道を中心に運動の組み立てをしています。
剣道を長くやっていると、いろいろな疑問にあたります。
試合に勝つための剣道、昇段するための剣道、楽しむための剣道など
柔道とともに日本固有の武道である剣道は、司馬遼太郎さんも言ったように、
たいへん奥の深く、精神と体のバランスを求められるスポーツです。
どんなスポーツにも言えると思いますが、基本練習は大切なものですが、
単純な反復練習は退屈なものです。
16年も素振りを繰り返していると、体力維持とはいえ、
サムシング・ニューはないかといろいろと模索するようになります。
・どうして剣道では左足(軸足)が右足の前に出てはいけないのだろう。
・実戦では相手を刺すように面(メン)を打つのに、素振りではどうして、
竹刀の先が尻につくように大きく振るのだろう。
・胴を打つ時に竹刀を支える左手を体の中心から外してはいけないのだろう。
・体当たりのときになぜおもいっきり腹から相手に
ぶつからないといけないのだろう。
剣道をやっている子どもたちも、きっとこころの中では、先生の教えに対して
「なぜ」という質問を発しているのだろうと思います。
日本の武道では、先生の教えは絶対です。先生はインストラクターではありません。
したがって、子どもたちが「なぜ」という質問を先生に発したのを
聞いたことはありません。
私も道場の先生に、「なぜ」という質問をしたことがありません。
そして、無心で素振りをすることに、「退屈さ」と「もったいなさ」を感じた私は、
たとえば、軸足を左から右に変えてみたり、竹刀を持つ手を左右逆にしてみたり、
剣道の当たり前を変えてみました。
いままでの常識が正反対になりました。テニスでいえば、右利きの人が
左手でラケットを持つということですから、いわば初心者になるわけです。
16年間剣道をやってきた私と、初めて剣道を始める私が経験して、
たくさんの発見がありました。
・剣道では腕力が問題ではないこと
・足の動きの無駄が動作のバランスを大きく崩すこと
・体の「キレ」は腕では生まれないこと
・腰が動作の起点となること
小学生たちと稽古をすると、ときどき面白い場面に遭遇します。
―さあ、おもいきり正面からぶつかる
「無理」
昔の道場であれば、「無理」といった子どもは、師範に蹴飛ばされていたでしょう。
現代は「絶対」なる権威者いて、すべてを統制することはできません。
「統制」の価値観が変わったのだと思います。
今日は、日曜日。これから稽古に行きます。