留学して2年 - 留年を回避するために
留学が2年目を迎える前、留学先校から来年度の合否についての通知があります。
その通知をもとにして、来年の手続が始まるわけですが、
ニュージーランドの学校には留年という概念はありません。
ところが、すべてにおいて合理的なアメリカには留年があります。
英語だけ10年生(中3)で、社会、数学、理科は、11年生(高1)
というケースもありますが、言葉、生活に慣れた留学生ではあっても、
学習技術が未熟なままであると、「留年」という決定を
余儀なくされることがあります。
学校側の留年の理由は、成績が悪いからという理由ですが、
成績の決め方のルールが日本と異なるアメリカの学校においては、
本人の必死の努力とそれに対する裏づけ行動が極めて重要です。
よく質問に来る、クラスで発言が多い、宿題・課題の提出期限を守る、
これがすべてできていれば、試験の結果が悪いはずはないと、
アメリカの学校では信じられているわけです。
ゆえに先生の視点は生徒の「努力」にかなり重点が置かれます。
「発言が足りない」、「より授業に参加してほしい」、「質問に来るように」、
これらの先生のコメントは、私がお世話したほぼすべての留学生に当てはまります。
クラスで居眠りをする、宿題の提出率が悪い、課題の出来が良くない、
発言がない、授業中の集中力欠如など、それでも試験の結果がよければ、
「OK」という理屈はおおよそアメリカだけでなく、
英語圏の学校では通用しません。
余談ですが、それでは英語圏の生徒たちが日本にきたら日本の学校を
どのように捉えるのでしょうか。
たとえば、アメリカのボーディングスクールからの生徒が
日本に留学したとすれば、一クラス40人というマンモスクラス、
生徒の発言の少なさ、テスト重視の学校文化などに彼らは根本的な疑問を
持たざるを得ないでしょう。しかし、現実的には日本の中等教育機関に卒業を
目指して、留学する英語圏からの中高生は皆無であると思います。
1年間以内の留学であれば、教育システムよりも、
日本人の人間関係や社会の慣習、そして世界的に有名な日本のサブカルチャー、
アニメ、それらの情報発信地、秋葉原、原宿、渋谷、新宿、
そして日本の古都、京都、奈良、大阪など彼らを刺激し
感動させる事象には事欠かないでしょう。そもそも、日本に興味のない人は
期間にかかわらず留学などしませんから。余談をおわります。
私は子どもたちのこころのあり方を、この仕事を通じて、
たくさん学びました。1年目を乗り切ったところで、留年を宣言されることは、
彼らにとって「納得行かない」ことです。そのようにならないため、
あるいは、言葉や生活に慣れた時点で、留年の危機に気づくためにも
初年度の努力の大切さを私は強調します。
日本の学校では想像できませんが、英語圏の学校生活では、
言葉や文化に慣れると同時に、英語圏の学校の学習や評価のルールについても、
なれる必要があります。
その基本は、学校という社会に密着すること、捨て身で取り組むこと、
自分が必死であることを、具体的に行動を通じて示すことにあります。