ボーディングスクールの教育#2-好きなことから使命感に
自分の好きなことを追求することは、簡単なようですが、実際にはそれを継続して行なうためには、かなりの努力、精神力、忍耐力などが必要だと思います。ボーディングスクールでは、生徒に対して、彼らがやってみたいと思うことに挑戦させる意識は非常に高く持ちますが、それを継続させたり、向上させたりすることについては、生徒の主体性に任せています。
日々のボーディングスクール生活のスケジュールは、しっかりと決められていますが、選択することに関しては、先生がマンツーマンで徹底して生徒と向き合うというのではなく、あくまでも生徒が先生に発信するという形になります。
日本の学校は、一クラスの人数がボーディングスクールにくらべて3倍以上になりますが、担当する先生のクラスへの関わりはかなり多いのではないかと思います。そのような学校環境から留学した生徒は、常に尋ねられるボーディングスクールの学校文化にかなり戸惑います。
先生の半数以上が学校敷地内あるいは学校周辺の家に住んでいる環境にあっても、先生自らが生徒に向けて発信し続けるわけではありません。留学生が必然的に学ばなければいけないのは、自分がどうしたいのかという大きな人生の方向性を決めるきっかけを作るということです。
ある身体能力が非常に高く、順応性にも優れている留学生がいました。その生徒は、スポーツ分野で本領を発揮し、地元の友達もたくさんできて、2年間で英語力のみならず学力も大きく向上しました。その実績を基にして、3年目で2ランク上のボーディングスクールに転校しましたが、そこで要求される学力に順応するためにかなりの苦労をしました。それを評してアドミッションスタッフは、その生徒の学力の低さを問題にするよりも、運動能力を賞賛しました。「(自校の)すべての生徒が学力に秀でているわけではありません。彼女は自分の特性を生かして、それをもとに学校生活を組み立てればいいのです」とアドミッションスタッフは言いました。
その生徒は、ボーディングスクールを卒業後、同じ州にあるリベラルアーツ系の大学で学び、日本の会社に就職しました。それを一番喜んでいるのは、その生徒のご両親にちがいありません。
自分の好きなスポーツを中学、高校留学時代に十分に発揮できた結果に本人も満足していると思います。