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お母さんの涙

ある男性俳優が「年を取るにつれ涙もろくなった」と言っていました。
私も例外ではなく、若い頃と比べるととても涙もろくなったと思います。
涙もろくなると、世の中の見方が変わってくると思います。
わが子の留学を決意したあるお母さんとの会話です。
「あっという間に4月ですね。もう息子が留学するのに1ヶ月もないんですね」
-お嬢さんも東京に出てきてしまって、ずいぶんと寂しくなりますね。
二人ともいなくなっちゃうわけだから。
「そうなんです。一人になると食べるのも億劫になりそうです。今までは、
何作ろうかなんて考えていたのが、もうできないとなると、
楽になったなんて、考えられません。娘がいなくなったときも、涙がでちゃって・・・」
-そうですか。男親と女親はちがいますからね。私は最近まで子どもが
独立して家を出るのは、嬉しいことなんて思ってました。
「斉藤さんは男だから・・・」
長男がニュージーランドに留学した年、私は2年間大阪に単身で赴任をしました。
我が家は次男と家内だけでしたが、その時、8年ほど前のことですが、
私自身それほど寂しさを感じたことはありませんでした。
家内は内心寂しかったのかも知れませんが、
私には一言も「寂しさ」を口にしたことはありませんでした。
それが今は、わが子二人が離れて暮すという
お母さんの寂しさをしみじみと感じます。
どうしてなのかなと思います。やはり「年」だからかも知れません。
いや、こころのアンテナの志向性が変わったのだと思います。
できれば、家族は一緒がいいに決まっています。
しかし、一緒にいると時にはうっとうしく思えるような時があるにしても、
いざ離れてみるとこころに穴があいてしまったようで、
それを埋めるのにも時間がかかるという、母心が容易に感じ取れるのです。
「お母さん、趣味をもってください。なにか没頭できるようなこと」
-そうですね。そうします。うん、それがいいですね。
「そうそう。それで、休みになったら、わが子のところに遊びに行く」
-はい、考えてみます。それがやっぱりよさそうですね。
10年前の私であれば、「お母さんが寂しがっていれば、子どもにうつる」
などと強弁したに違いありません。
それが当たり前だと疑う余地もなく信じていました。
お母さんの涙に共感すること、それが私には自然な気持ちとなりました。
理屈ではなく、「寂しいだろうな」と思うのです。
世の中には、いろいろな人がいます。わが子が遠くはなれて暮らしていても、
寂しくない人もいると思います。それで社会が出来上がっていると思います。
留学する人もさせる人もこころの変化に対応することで、
ともに成長するのだと思います。

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