地震から8日間 - ある大企業の取締役の想い
地震が起きた日から8日が経ちました。
先日のブログにも書きましたが、私には東京での夜の人々の群れの光景は、
1か月前くらいに思えてなりません。あれから、たくさんのことが起こり、
生活パターンが変化したことが、頭のなかの1日を加速させたのだと思います。
地震があった日、私の友人で企業研修に携わっている人が、
ある大きな企業のMBAにチャレンジする社員の説明会を行いました。
冒頭挨拶した取締役からのメッセージが深く印象に残ったそうです。
ご紹介させていただきます。
「君たちは日本の5年後をどう想像するか、このまま日本のものは売れ続けるか、
日本の経済は安定しているか、日本以外のアジアの国々との競争に勝てるか、
この国を外から見てほしい、そしてグローバルとは何か、これからあるべき
私たちの会社を探してほしい。」
積極性と意欲のある精鋭社員に対し2年間のMBA留学を実施すると
決めたこの企業での取締役の役割は大変重要なものであると思います。
2年間の長きにわたり、会社として優秀な社員の留学を行うことは、
このご時世であるがゆえに、信念あるリーダーでなければ、
簡単にはできないことのように思えます。
「2年後、MBAを終えた社員が、そのまま会社を辞めたらどうするのですか」
その取締役は、「社員の自由だ。もし、そのような社員がいるとすれば、
我々の会社はそれだけの器量ということだ。反省するのはこっちのほうだ」
取締役がスピーチを終え、友人がこれからのスケジュールなど説明している時に、
地震が起こったのだそうですが、彼は説明に集中するあまり、
聴衆の「地震だ」の声に異変に気付いたそうです。
取締役のおもいとは、日本を外と内から見ることのできる
今までとは違ったものの見方のできる人を作りたいのではないでしょうか。
なにをおいても、受け身、指示待ち、批判的、やれない理由説明など、
彼は大きくなりすぎてしまった会社に危機感を持っていると思います。
それが海外でMBAを取得することで解決するかどうか、
取締役はおおきな賭けをあえてしたいのだと思います。
不思議なことに、「日本の大学院でMBAを取ってこい」という
発想はないようです。
では、日本のどこどこの大学を出たということがどれほど重要なのでしょうか。
その説明会から8日が経ちました。
地震によってMBA計画は中止にも延期にもならなかったようです。
友人は計画停電や電車の間引き運転で事務環境が悪くなるなかで、
鋭意、MBA志願者のために仕事をしています。
私も友人もこの取締役の人柄がとても好きなのだと思います。