子どもたちの好きなこと
好きなことを伸ばすこと、それを私はとても重要であるばかりでなく、
10代の子どもたちにとって必要なことであると思っています。
彼らがやらなければならないとわかっているのに、
できないことを、好きなことを思い切りやることで克服する、
私は、好きなことパワーに大いに期待しています。
いままで私はカウンセリングなどで頻繁に「勉強が好きな子は大変まれです」と
発言してきました。それに対して、反論した生徒もいなければ、
親もほとんどの場合、頷きます。幸いにも「そのような考え方の人に、
子どもの教育をお任せできません」と親御さんから言われたことはありません。
私の意見に賛同いただき、お子さんのお世話を任せていただくことは、
私にとり幸せなことです。教育のコンサルティングが私は「好きなこと」ですから。
そして、この仕事の継続を「ありがたいな」と実感しています。
好きなことを伸ばすことは、もしかすると世代にかかわりなく、重要かつ
必要なことではないだろうかとふと思います。
好きではない勉強をDo itと命令されると、されたほうはするどい観察眼で、
発言者を分析します。そして、結論はなぜ「なぜ自分だけ」ということに
なると思います。被命令者の行き着くところは犠牲者意識であり、受身であり、
自発的でなく、元気でなくなります。彼らはこころのそこから納得していません。
ある生徒に対峙して、私は単刀直入に聞きました。
「君が重要だと思っていることは何ですか」
その生徒の答えていわく、
「元気と笑顔です」
私のこころはその明快な回答に虚をつかれましたが、さらに質問を続けました。
私:なぜ元気と笑顔が大切なのですか
生徒:どうせなら笑っているほうがいいでしょ。
悲しくても笑ったほうが元気が出ます。
私:ほんとにそう思うの
生徒:はい、だって悲しんでいても何も変わりません。
私:君の好きなことは何ですか
生徒:ジャズです。
私:どうしてジャズが好きですか。
生徒:こころがスウィングするから
私は正直、子どもたちに好きなことを一所懸命に追求してもらいと思っています。
それがどんなことであっても、社会的、学問的見地からみて、
取るに足らないことであっても、命をかけるという勢いで好きなことを
追求する姿勢を持ってもらいたいと思っています。
そして、段階を経て、いくつかの達成感を実感したとき、
小さなプライドが芽生えると思います。
プライドとはI can do itという自覚であり、
人に何かを誇ることでは必ずしもないと思います。
「自分にはできる」というプラス思考の積み重ねが、
チャレンジ精神を刺激し、自分流の達成のための論理を組み立てます。
そこではじめて「勉強しよう」という意欲が喚起されると思います。
子どもたちにとって、好むと好まざるとにかかわらず、
勉強というのは仕事ですから。
現代はもしかすると、子どもたちの長い時間のかかる自主的な
精神の訓練を省略してはいないでしょうか。
自分と戦うことや、苦難をどうにかして自ら乗り越えるという
自主性を省略してはいないでしょうか。
合理性や便利さ、豊かさなどを「学習、Do it」の論理で子どもたちに
強要してはいないでしょうか。
つづく