留学に必要な英語力について
ボーディングスクールが要求する英語力は大別すると3つに分類できます。なお下記のランクについては第2章ボーディングスクールの分類と入学難易度を参照してください。
① 英語が普通に話せて、入学年相応の英語による読み書きができる。入学に際してはTOEFL、SSATスコアの提出が必須となる(ランク4、ランク5)
② 英語力はある程度要求されるが、ESLサポートもあり、英語力よりも、成績、特技、意欲など総合的に志願者の伸びる可能性を探る(ランク3、ランク3.5)
③ 英語力は問わない。志願者の学習への意欲が明確であれば、日本の成績が平均以下でも入学可能。(ランク2)
ボーディングスクール留学で問われる英語力とはまず読み書きの力です。決して、英語で会話ができることが最優先されることはないのです。ただし、読む力と書く力は和文英訳および英文和訳という範囲のことではありません。問題は相手に自分の意思どのように伝えるかです。ボーディングスクールで相手に自分を伝える手段で最も中・高生が苦労するのが読み書きなのです。英語を読む力、書く力のある生徒はそのような思考形態を学んでいるということですから、聞く話すということも吸収が早いのが私の経験です。
留学準備の英語学習に「試験に出る出ない」は関係ありません。知識だけを問う勉強は必要ありません。要するに英語をどれほどまで使いこなせるかということを問うわけです。上記、①のランクの学校は残念ですが日本の英語教育のみではおそらく合格は望めないでしょう。
習う(知識を増やす)よりも慣れろ(使える)方式が留学のための勉強だと思いますが、効果的なやり方は3つあります。ひとつは早めに留学をすることです。理想的には中学校になった時点でジュニアボーディングスクールに留学します。ジュニアボーディングスクールは入学に際して英語力を重視せず、学力、意欲などを尊重しますから、12-13歳でのボーディングスクールはその後の可能性を大きく広げます。
ジュニアボーディングスクールへの留学ができない場合は、アメリカの高校が4年制であることを利用して、日本の中3時に留学するという方法があります。現地の高校の1年生(フレッシュマン)への入学を目指すのです。最初の1年間は受け入れのボーディングスクールも英語力のハンディを考慮して科目を組んでくれます。そして、あとの3年間で1年間のハンディを取り返すようにするのです。
中学校を卒業して3年間の留学を考える場合、英語力を考慮してフレッシュマンから入学することも十分に考えられます。受け入れのボーディングスクールがあえて1年学年を落とすことを条件にして合格をする場合もあります。卒業まで1年余計にかかりますが、長い将来を考えれば、この1年は余計でなく、精神的、物理的な余裕を生み出す時期に変わるでしょう。
もうひとつはオーソドックスに留学すると決めたら日本で英語の特訓をすることです。英語力が学習力と関連していることは間違えありません。学習力を最も引き出すのは目標を明確にしたうえでの達成意欲です。試験に出るという枠をはずして考えると、日本の中学校の英語学習内容は基本に忠実で十分に使えると私は確信します。加えて、TOEFLのための予備校や専門学校も都市部にはありますから、留学用英語学習についてそのような専門機関に相談するのも良いでしょう。教授陣も多数留学経験者がいますし、相談を受けてくれるアドバイザーなども留学についてはある程度の知識を持っている人が多いと思います。日本の英語学習機能をフルに利用して、なるべくレベルの高い学校への入学を目指すことをお勧めします。