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言葉の真実-ある生徒のひとこと3

「目標のない国はだめですよね」とアメリカのボーディングスクールを
今年卒業したある生徒は私に言いました。
若干18歳の生徒ですが、そのひとことに私は大変感動します。
日本の戦後から現在までを考えさせられる一言であると思います。
私はいわゆる「戦争を知らない子どもたち」の世代ですが、
敗戦後の悲惨な社会状況からの日本の立ち直り、高度経済成長、
そして経済大国となるに至る道にその目標としてアメリカが存在したことは
間違えないと思います。
いざそこにたどり着いて生活の豊かさと便利さを享受できるようになったとき、
日本は更なる目標を失ってしまったように思います。
そして訪れたグローバル時代に、
日本のみならず世界が戸惑っているように思います。
さらに生徒は続けます。
「中国、韓国、インド、ベトナムなどみな日本を目標にして頑張っています。
目標にする国があるから頑張れるんだと僕は思います。日本もアメリカも目標を
失ってこれからどうなってゆくのでしょうか。」
「君はどうしたいですか」と私は彼に質問しました。
「できるならば、世界をたくさん自分の目で見て、いろいろな経験を
かさねてその中から自分のコアを作ってください」
「そうですね。ニューヨークはある程度知っているのですが、
他の国もできれば行きたいと思います。」
これからの世代に私たちは何を残せるのかと思います。
引き継ぐべき目標が消えてしまった・・・、といっても過言ではないと
私は思います。
だから彼ら自身がそれぞれの目標を探さなければいけません。
「そんな大げさな、国の目標などとはあまりに大雑把すぎる」と
思われるかもしれませんが、大きな目標があることで、
何をするにも一定の方向性が保たれていたと思います。
だから迷わなくても良い。会社も社会もアメリカに追いつけ追い越せと
いう合言葉のもとに努力ができたと思います。
今度は日本が追われる立場になったわけです。
しかし、どこに向かって私たちは走ってゆくのでしょうか。
ここ数年間ですが、何人かのお父さんやお母さんから、
「この子は日本で仕事をしなくても良いと思っています」
という意見を聞くようになりました。
それ以前にはあまり聞くことのなかった言葉です。
小さな経済大国がこれから生きてゆくためには、
若い世代が世界をそれぞれの目でみて自分の目標が設定することが、
一つの解決策であると私は思います。

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