言葉の真実-ある生徒のひとこと
留学の現場にいる生徒たちとの会話から私はたくさんのことを学びます。
「勉強の仕方を知っている人はできる」とある生徒が私に語りました。
その意味はとても深く、多面的要素を持っていると、考えるほどに思います。
勉強の仕方を分析すると、学校から与えられた
課題(テスト、宿題、リサーチ等)に対して、期限内に優先順位を決め、
解決方法を考え、予定通り実行するという克己の要素があると思います。
そのどれがかけても結果に影響します。良い結果を得るためには、
その段取り力がまず重要であると思います。
留学という環境においては、誰しもこのプロセスを一人で考えなければいけません。
もちろん、担当の先生、チューター、ラーニングセンターなどの質問を
受ける専門機関といった強力な支援体制はありますが、自分の親代わりの
マネージャー兼、身の回りのお世話係りはいません。
余談ですが、たくさんのお母さん、お父さんから聞いた、
親ができることは「送金だけ」ということばが鮮明に思い出されます。
私自身の息子を考えても、結局、親はスポンサーであり、
子どもの教育投資についての価値判断をすること以外は、
彼らに任せるしかないのだと思います。
さらに言えば、子どもたちが10代にして自分自身で問題解決が可能かどうか、
親が子に投資する「真の意味」を理解し、
それに命をかけることができるかどうかです。
「命をかけるとは大げさな」と思われるかもしれませんが、
家族を支えるために働いている親は、たくさんの人が命をかけて
仕事をしていると思います。
働くお父さん、お母さんから多くのストーリーを聞くにつけ、
私は彼らが中途半端な意識で仕事をしているとは思えないのです。
余談を終わります。
切羽詰った本人が、土壇場で勉強を放り出して寝てしまうか、
それとも、「それではだめ」と認識して、さらなる学校機能の活用に
活路を見出すべく努力できるかが分かれ目となるでしょう。
「勉強の仕方を知っている」生徒というのは、
留学以前に親の教育投資の意味と親の生き方を
感じることができた生徒ではないかと思います。
私は日本の受験システムが好きではありません。
もっぱら暗記量を試すようなテストに重きを置くことに
自らも疑問を感じてきましたし、現在も賛成はできません。
実際、勉強が好きな子どもたちは極めて少ないと思います。
しかし、世界のいかなる学校においても、生徒へのアプローチの仕方は
違っていても、暗記のない勉強もまた存在しません。
勉強の仕方を知っている生徒は、世界のどこの国で学んでも、
学習に大切な要素を心得ており、その段取りが自主的に取れるのだとおもいます。
そして、それを悟った勉強の仕方を知らなかった生徒も、
新たなる認識ができるまで自分の意識を高めることができたことで、
勉強の仕方を猛烈な速さで学んでゆくと思います。
私は彼らの不思議な力に感心します。
これがグローバル時代の生きる力なのかもしれません。