イギリスの教育-ボーディングスクール5
Aレベル2年間で専攻できる科目は日本の高校で学習する科目と比較すれば、
少なくとも3-4倍に相当するでしょう。
さらに、それを自分で選んで決定するわけですから、
その内容は専門化されます。すなわち、大学準備がすでに
Aレベル時点で始まることになるので、イギリスの大学は3年間で
終了というシステムなのだと思います。
問題は専門特化してゆくAレベルでの学習が
日本の高校とは全く異なる学習体系であることです。
そして、GCSEとAレベルはいわばセットになっていて、
Aレベルの科目の中には、それと関連するGCSE科目での成績結果を
求められるものがあります。
それでは、GCSEおよびAレベルはどのようにして最終評価が
下されるのでしょうか。
インターナル、エクスターナルと呼ばれる学校で行われる試験と、
学校外で作成されたいわば全国区的な試験の「結果」が
重視されることになると思います。
そして、知識量が求められる重要科目はエクスターナル試験が
多くなるのも当然と言えます。
高校3年間での留学を考えている生徒にとっては、
初年度でGCSEの結果を出すことは極めて困難であると思います。
そのための1年間の英語特訓コースであるわけですが、
GCESの結果なくして、Aレベルに進むことは可能ですが、
科目選択が自分の納得行くものにできるかどうか、留学をする前に
十分に考える必要があるでしょう。
たとえば絵画、デザインなどの美術に関するAレベル(ASレベル)を
初年度取ったとしましょう。
自分で描くことに英語力は必要とされないでしょうか、デザインなどの創作、
分析、調査、メディア研究、そして担当の先生との話し合い、
ポートフォリオの作成など、日本の普通科高校で求められる段階から、
専門学校的な努力と精度をイギリスでは求められることになります。
そして、英語力はこの分野においても必須と言わざるを得ません。
日本の大学における出願で、GCSEとAレベル両方の結果を
求める大学の狙いは、志願者の総合的な学力を見たいという
ことにあると思います。
たとえば、文化系の大学の経済や法学など一般的な学科に出願したとして、
Aレベルでの3科目がアート系、言語系、コンピュータなどの技術系であれば、
受ける側の意に沿わない場合もあると思います。
しかし、志願する側にとっては、ビジネス系、経済系の科目や、
英語力を必要とする法律系のAレベルはとてもこなせるものではないという、
現実もあると思います。
イギリスへの高校からの留学は、大学準備という視点に立って
考えることが望ましいと私は考えます。