ニュージーランド留学-ある日本の親子の決断
1989年、3人の子ども(11歳女子、9歳男子、5歳男子)と共に
ニュージーランドに渡ったエリコさんのお話を聞きました。
先週のブログで断片的にご紹介したニュージーランドですが、
私が帰国し直後にエリコさんの話が聞けたのは幸運でした。
エリコさんはシュタイナー教育やトットちゃんともえ学園などに
大変興味を持ち、日本での教育に疑問を感じて、
その活路をニュージーランドに求めたそうです。
なぜニュージーランドだったのかというと、
国の広さ、英語が母国語であること、治安の良さ、穏やかな国民性、
生活のしやすさなどから判断したといわれました。
アメリカや南米の国と異なり、先住民族のマオリ族を尊重して、
母国イギリスから渡った移民は彼らとの共栄共存の道を追及したそうです。
現在、マオリ族は人口の4-5%で残りの90%以上が、イングランド、
アイルランドからの移民で占められているとのことです。
母国イギリスと密接な関係に頼っていたニュージーランドですが、
エリコさんによると80年代の後半に経済的自立を目指し、
日本に焦点をあてたといいます。確かに、ニュージーランドの高校には
他の英語圏のいずれの国よりも日本語クラスが多くあると思います。
そもそも羊毛、酪農、家畜の飼育などの農業を中心としてきた
ニュージーランドですが、現在はそれらの産業に加えて、
観光立国を目指していると思います。
自然保護を徹底させ、豊かな手つかずの自然が残るこの国ですが、
ロードオブザリング、ナルニア物語、などをはじめとして、
多くの映画のロケ地として使われています。
世界で始めて、女性に参政権を認めたのもニュージーランドであり、
キューイー・ハズバンドという言葉があるくらい、女性の社会進出を
妨げない国でもあります。
わが子をニュージーランドの教育によって育てたエリコさんによると、
ニュージーランド教育は下記3つの要点にまとめられるそうです。
・ 個性の尊重
・ 自由と責任
・ コミュニケーション力をつけること
5歳の誕生日とともにニュージーランドの教育は始まるそうです。
初等教育では、親の教育への参加を必須として、
その協力内容を4段階に分けて、
それぞれの親(もちろん母親である必要はありません)が学校側に
自己申告して、子どもの教育にかかわるのだそうです。
知識習得を重んじる日本の教育とスタートの時点でかなり違います。
自由なことをさせるニュージーランドの初等教育のスタート時には、
外での遊び、室内での遊び、などをさらにいくつかに分けて、
なるべく自由にさせるそうですが、子供同士の喧嘩の仲裁などに
先生の力が発揮されるとエリコさんはいいます。
「やめなさい」ではなくて、二人の言い分を欲先生が聞き、
なぜそうなるに至ったか、どのように解決するかを徹底して
追求するのだそうです。
エリコさんは現地の高校での日本語教師の経験を経て、
北島で英語学校を経営されています。
彼女の89年の決断とニュージーランドという国での
子どもたちへの教育選択は、しっかりと実を結んだと思います。