日曜コラム-春過ぎて
夏きにけらししろたへの衣ほすてふ天の香具山と
先週末に中学3年生の生徒と乗り込んだニュージーランドでしたが、
連日13度と日本よりも寒いくらいの南島でした。
いつもは夏から冬へ、冬から夏へと両極端な季節に渡航していましたが、
今回はほんの少しだけ、芝生の緑に若草の萌える気配を感じました。
道行く人は短パンTシャツ姿もちらほら見えて、
北国オリジンの人々の耐寒肌に関心しました。
南島、オーマルで世界最小の野生ペンギン(20センチほど)が日没目指して、
海から陸の帰巣する自然のショーを生徒とガタガタと震えながら見物し
シンガポールの若夫婦の経営するモーテルに震えながら、
二人とも早々と床につきました。
同行した生徒は日をおうごとに、「自分が話さねば」という意識を
喚起して、最後の学校訪問のときの自己紹介は、
声と姿勢に張りが感じられました。
生きる力を目撃できることが教育コンサルタントの特権です。
成田空港でお母さんが幼い子のように笑みを浮かべて、大きく手を振り、
お父さんがその後ろでにっこりと迎えてくれました。
現地では寡黙ともいえた15歳の少年ですが、
成田では堰を切ったように、お母さんめがけて1週間の報告を
途切れることなく語っています。
私はお父さんとドライブと多少の時差ぼけでふわふわした頭を
カフェオレで落ち着かせながら、世間話をしました。
「これからの子達は英語が話せにゃだめですから」とお父さん。
-日本のホスピタリティー(もてなし)は世界最高だと私は思います、
でも宣伝が下手です。
「そうだね、そのとおりだよ。これからはグローバル時代だ。ホテル業も
日本だけのニーズじゃ、大変だよ。しかしね、私はこの子が留学して、
世界のどこで仕事をしてもいいと思っている。家業はこの子が継がなくても
かまわない」
-ニュージーランドでは一度も食べ物ははずれがなかったと言っています。
毎日、良く食べて、よく寝てました。
「そりゃなによりだ。二つとも生活の基本だからね。
一週間ありがとうございました。」
お父さんはサッカーが得意の体育会系の人でした。
どこの学校に行くかは本人に決めさせるそうです。
その本人は意中の学校を決めていました。
同行した生徒は、ニュージーランドの訪問先校でたくさん質問され、
発言を余儀なくされたために、日本との人間関係の作り方の違いを
感じたといっていました。「話さねば知れず」ということが
わかってきたのだと思います。
また一つあらたな若者の教育ストーリー作りに参加します。