海外教育資源-ハークネステーブル(円卓)4
前日のブログからの続きです。
子どもたちは真剣に向き合いたいと思っている、私はそのように考えています。
ボーディングスクールのハークネステーブルの概念も実は、
向き合うことの大切さの中から生まれてきたと思います。
彼らは真剣に向き合うこと、向き合うものが見つかれば、
そこに向かって集中し専心し努力できると私は思います。
問題は何と向き合うかを捜し求めることにつきると思います。
一般的に子どもたちはそれを捜し求めません。
なぜならば、探さなくても、周囲からあふれかえる情報が日々入り、
自分の欲求を満たす刺激には不自由しないからです。
しかし、与えられたものですから、そこには達成感があまりありません。
便利で豊かな社会は、こころまで豊かにする便利さには至っていません。
この環境のなかで、もし彼らが小さなときから「自然」に詰め込むだけの学習を
強いられたとすれば、好奇心や「なぜ」という素朴で素直な
「向き合うこと」の原型を失ってしまうのではないかと私は思います。
それでも、学習は毎日毎日やらないと置いてゆかれてしまいますから、
楽しい、つまらないにかかわらず行なわなければいけないわけです。
交通機関は確保され、食事にも不自由せず、学習サポートは完璧という
恵まれた環境にもかかわらず、精神的に病む子どもがいるのは、
決して満たされていないこころと本人の持つ性格的特性が微妙に結びつき
化学変化が頭の中で起こっている証ではないだろうかと私は思います。
では、ボーディングスクールで行なわれているハークネスの効果は
どのようなものなのかというと、決して学習効率の追求ではなく、
人を大切にという当たり前のことの実践であると思います。
実をいうと、私はボーディングスクールに行き大きな楕円テーブルを
みるたびに、ここで学ぶ子どもたちは先生といつも向き合い、
「さぞ大変だろうなあ」などと想像していました。しかし、現実は
彼らにとって、学ぶというコンセプトを転換し、それが自分探し、
本当に自分が向き合うことやものを探すために必要なテーブルでは
ないのだろうかと思います。
その根本には、先生と生徒の信頼にほかなりません。
信頼の根源は愛しかないと思います。
もちろん、ハークネステーブルは万能ではありません。
覚えこむこと、知識として吸収するべきことがかなりの部分を
占めることは否めません。
それでも彼らは前進する。そのための何が必要かということを、
ボーディングスクールスタッフは恒に試行錯誤しながら、
子どもたちと一緒に学び続けていると私は思っています。