留学コンシェルジュ

海外教育資源-ハークネステーブル(円卓)2

アメリカの中学高校で使う教科書の厚さには驚かされます。
社会、生物、数学など3センチ以上はあります。
それを全部覚えることはとうていできません。
教科書は生徒にとってリソース(情報源)のようなもので、
授業で行なわれることを参照するために使われているようです。
チョートローズマリホールでの留学生活を出版した岡崎玲子さんは、
その著書のなかで、先生が教えていない数学の問題が宿題として出され、
その問題を解くところから次が始まるという驚きの体験を述べていました。
チョートだけではありません。彼女が出版する10年以上も前に
私はミズーリ州、セントルイスにある総生徒数60名あまりの
ボーディングスクール、Thomas Jefferson Schoolに入学した生徒から
全く同じ話を聞きました。
要するに生徒が自ら教科書を読み進み、問題を解き、わからないところを
先生が教えるという進み方です。
彼らは教えることの既成概念にとらわれないのだと思います。
玲子さんはまじめな日本人生徒ですから、当然必至に徹夜覚悟で予習をして
授業に臨んだわけです。実際、授業が始まってみると、
多くの生徒が問題を解けたわけではない。すなわち、「できる範囲」で
生徒はやってくればよいわけです。
数学が得意な生徒は出来るかもしれません。そして、できない生徒も当然、
たくさんいます。結局、わからない問題は先生が解決し、生徒が納得する。
それで誰も文句を言わないわけです。
「問題解決のための授業だからあたりまえでしょ」とアメリカ人生徒は
当たり前のことを言うわけです。
ボーディングスクールでは教育は初めから
与えられるものではないという概念が当たり前なのかも知れません。
ゆえに、日本からの留学生にとり、既存の学校価値観が大転換を起すのです。
それが起こったときに、「素晴らしい」と思えるか、
「これはおかしい、間違っている」と思うかどうかでその生徒のその後は、
とてつもない違った道を歩むことになると思います。
知識量が多いからといって、ボーディングスクールでの勉強が
おもしろいとやる気になるわけではありません。
成績評価がほぼテストの点数で決まる日本の学校に比較して、
宿題、課題が多く、授業が大きな意味をもつボーディングスクールの教育に
チャレンジ精神をかきたてられるのは、生徒の好奇心とか、向上心といった
それぞれの個性や特性によると思います。
「既存の概念は通用しない。新たな方法へのチャレンジ」このフレーズを
私は今まで何度となく自己啓発本、ビジネス書、成功哲学書で目にしました。
それがそのまま、ボーディングスクール留学には通用すると思います。
概して勉強のできる子どもたちはそれなりに好奇心を持ち、
向上心やプライドもしっかりと持っていると思います。
それらの意識を上手に導くことで彼らは成長してゆくと思います。
そして、願わくばこれからの世界を担う若者たちには、
社会に貢献するという使命感を学生生活の中で植えつけて欲しいと
私は切に思っています。
ボーディングスクールのハークネステーブルの精神は
子どもたちの生きてゆくこころの軸を
太く堅実にするために存在していると思います。

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