日曜コラム-美しい国
アメリカのボーディングスクールを訪問する度に新たな発見と感動があります。
それは同じ学校でもセットが毎回異なるからです。
訪問する人、それを受ける人、時間帯、気候など、
人とものがおりなすストーリーは無数の組み合わせがあります。
そして、学校という部分のみでなく、旅の最中にも感動はあります。
今回、ペンシルバニア州からコネチカット州に移動する300マイルのなかで、
シャワーのような雨が降り、暗雲と大地に幾筋もの雲の糸ができました。
「竜巻ができそうですね」思わず叫びました。
そこを左にかすめるように抜けると、青い空が広がり、
今までにみたことない、くっきりとした虹が私たちの右側の空に
半円のゲートを作りました。
「合格のしるしや」と車中からお父さんが言い、
本人はカメラでたくさんの虹の写真を撮りました。
平坦なペンシルバニアの大地に太陽が沈む光景も素晴らしいものでした。
長く一直線に続くフリーウェイから地平線が目の前に広がり、
オレンジ色の太陽が丘にかかると、あっという間にその姿が大地に飲み込まれます。
燃えるようなくれない色の空、黒いシルエットの地平線、
日本では見られない光景です。
5日間で1700キロほどの学校訪問の旅はあっという間に終わりました。
「アメリカは広いですね」旅の終わり近くにお父さんが言いました。
その広い大地にポツリ、ポツリとボーディングスクールは存在しています。
最後に本人をジュニアボーディングスクールに送っていった時には、
日が暮れて、あたりはうっそうとした森。
車のライトがなければ、ほぼ真っ暗。
子どもたちは寂しいときもあると思います。
また、そのなかで感動や発見もたくさんあると思います。
「何を本人に望みますか」と空港に向かう車の中で質問しました。
「子どもが一人で生きてゆけるようになって欲しい」
お父さんの解答に私は深くうなずきました。