留学コンシェルジュ

#3 中学留学生の自己認識について

<前日のブログに続きます>
TOEFL、SSATの準備のためにボーディングスクールに在学する中学生にとっては、夏休み、冬休み、そして春休みの活用は必須ですが、自己認識に関しても帰国中の時間の使い方はとても重要です。
小学校の高学年から中学校にかけての留学では、留学する本人のアイデンティティ、自己認識は確立していません。それが留学をさせる親にとっては一番気になるところでもあると思います。
英語の習得や異文化への適応そしてその応用までもが成人の留学と違って驚くべき速さで成される半面で、母国の慣習や文化から本人が遠ざかってしまう可能性も十分に秘めているわけです。
「こんなに早く英語が話せるようになるとは」と留学生のお母さんが喜ぶと同時に、帰国した我が子の日常のふとしたしぐさや言動が日本にいた時とは違うことへの戸惑いもお母さんにはあるはずです。
戸惑いはやがて不安になり、その不安を解消するために漢字ドリルや日本の歴史教科書などを学ばせて、日本を忘れないように、そして年齢にふさわしい日本人としての教養を身に着けさせなければと思えば思うほど、留学している我が子はそっぽを向いてしまうというのも中朝教育機関への留学生には十分に考えられることです。
ボーディングスクールの教育がいかに素晴らしいものであっても、彼らが留学生のアイデンティティについては、無関心ではないものの、そのためのクラスや補講があるわけではありません。結局、本人の日本人としての自己認識、アイデンティティの確立は親がリーダーシップをとって考える問題です。
漢字練習や日本の歴史、古典への教養といったことを意識して学習することによって本人の日本人としてのアイデンティティが確立するわけではありません。これらの要素は、本人の「日本を忘れてはいけない」という意識によってのみ生かされることです。
漢字練習は大学生になってからでも行えます。日本の歴史や古典の教養ということを学んでも使わなければ忘れてしまうのは、日本人の誰もが経験することです。
大切なのは、家族の絆だと確信します。
この絆は、基本的には、親の子を思う気持ちによって育まれ、年と共に成長する我が子に対して、その人格を尊重し、愛し続けることでゆるぎないものとなります。そのプロセスが日本であろうと、海外であろうと変わらないと私は思うのです。そうでなければ、留学のコンサルタントを37年間も続けられません。
つづく

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