ほめること-英語圏と日本の文化背景
日本文化の伝統として、「ほめる」ことの優先順位は高くないと思います。
小さいときからほめること、ほめられることを生活のなかで身につけている
英語圏の文化と好対照であると思います。
スポーツ、芸術、学問の世界において、私たちは本当にほめることが下手です。
なぜかというと、ほめなくても社会が成立していたからであると思います。
いわゆる体育会系の先輩後輩においては、先輩に絶対服従。
徒弟関係においては先生が黒といえば黒、白でも黒。
江戸時代からの上下のヒエラルキーのDNAを私たちは無意識に
受け継いでいるのではないかと思います。
そして、一端世界大戦でどん底まで落ちましたが、
世界が仰天するほどに見事に復活し栄華を極めている。
その背景にほめることが優勢を占める教育方式が取られていたとは思いません。
逆に英語圏がほめ上手なのは、日本社会と同様に、その必然があったと思います。
特にアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのような若い国は
成り立ちの過程において集団よりも個のちからが強く大きく作用しました。
個の集団においても、目的のためにまとまり、達成されれば、個に戻ります。
そのメリハリと合理性が彼らの文化のバックボーンにあると思います。
ほめない社会の大原則は、弟子にあたる生徒や学生が従順であること、
素直に先生の意見に従うことに違和感がないこと、要するに、学ぶほうがかしこく、
基礎教育が確立している人間であることが求められます。
英語圏の大原則は「なぜ」に答えうる論理思考であると考える私としては、
この好対照を体得することができれば、どれほどに留学の効果、
成果があるであろうと考えています。
ご承知のように、現代の日本社会は「個」がモーレツに肥大しつつあります。
集団的意識から情報革命を通じて急激に「個」が力を得て、重んじられるなか、
新旧の価値観がぶつかり合うことは避けられません。