日本と英語圏教育の違い:算数・数学の扱い
日本に比べて英語圏の算数・数学はやさしいといわれています。事実と思います。
英語圏では算数をアリスメティック、数学は代数がアルジェブラ、幾何が
ジェオメトリー、代数の上級の微分・積分はカリキュラス、三角関数を
トリゴノメトリーといいます。
小学校から中学校にかけての必須として算数・数学のレベルは日本に比べると、
2-3年の違いがあるのではないかと思われるほど教える内容に開きがあります。
私は数学が苦手ですが、アメリカ留学中、卒業に必須な数学知識を問う試験を
受けましたが、加減乗除、方程式も二元一次程度でした。グラフに表せば、
直線のみのもので、とても簡単でした。
私は当時、率直に「アメリカの数学レベルは低いなあ」と思いました。
しかし、今考えてみるとそれは偏った考えだと思うようになりました。
私たちが現実社会のなかで使う数学はほぼ加減乗除のみだと思います。
実際それしか使わないのだから、それができればよいというのが、
おそらく英語圏の数学知識に対する概念であると思います。
中等教育までで必須となる数学レベルは確かに英語圏は低いですが、
ユニークなのは必須以外の数学に対する対応です。
アメリカを例に取るとアルジェブラ2までが高校生の数学必須単位です。
日本の普通科高校で必須とされる微分・積分、三角関数は
アメリカでは必須ではありません。生徒がさらに上級の数学を
希望する場合は、物理的条件が許せば大学で勉強することも許されます。
「出る杭は打たず」、伸ばせる能力は伸ばすという精神が
英語圏の教育にあると私は思います。
数学のみならず、他の科目に関してもAP(上級)クラスを作り、
能力のある生徒はAPクラス履修が許されます。
高校の教育レベルの高さを知る基準のひとつにAPクラス数があります。
日本の場合は能力のある生徒は「特進」クラスに入ります。
特別に進学するクラスという意味でしょうが、「クラス」すなわち、
勉強内容が問題にされ、個々の特化した科目別能力は問題にされません。
ひとことでいえば、「よい大学に入るための特訓クラス」ではないでしょうか。
「大学入学最優先」というのが日本型
「個人の能力を伸ばすから大学入学がある」というのが英語圏型
余談ですが、今日新規のお問い合わせで、あるお母さんはお子さんの
留学の動機について、下記のように言われました。
「1回の人生、地球は一つ、(教育の)選択は世界であっていいと思います」
なるほどねえと私が感心してしまいました。