小・中・高校留学-IBプログラムその1
高校IBプログラムについて、今まで何度かご紹介させていただきましたが、
実際、IBのランゲージAクラスで日本語を教えている、
オーストラリアの先生と話す機会があったので、
IBの実際をお伝えしたいと思います。
高校IBは6科目で構成されています。
・Language A(母国語)
・Language B(外国語)
・数学
・社会(経済、ビジネス、歴史等)
・理科(生物、化学、物理、環境学等)
・選択科目(芸術科目から)
各教科7点満点プラス、TOK(Theory of Knowledge)から3点
合計45点満点
各教科ハイレベル、スタンダードレベルに分かれていて、
ハイレベル3つ以上でトータル24点以上が合格点です。
試験は学年末に行われ、科目によっては3つ(paper1から3まで)の
テストがあり、一つのテスト(paper)は90分から120分です。
評価はおおよそテスト結果(外部評価)50%、オーラル(面接:外部評価)25%
そして、担当した教師による評価(内部評価)が25%の配分となるそうです。
Language A、日本語のケースで授業の内容を見てみましょう。
1年間を4期に分けて、15冊ほどの文学作品を読み、その内容を基にして、
学年末の試験が行われます。
試験問題は、あなたがPart3で読んだ文学作品(たとえば走れメロス)の中から、
作者の最も言いたいことを、作者の生い立ちや当時の社会背景をもとに
記述しなさい。(3000字以内)などとなるそうです。
試験問題は生徒の前で開封され、終了後はそのまま郵送されるとのことです。
LanguageAの場合、15冊の読書課題はIB管理局に報告の義務があり、
IBを受けた生徒の合格パーセンテージが低い場合は指定校資格がなくなるそうです。
15冊の読書課題、それぞれの作者や社会背景の総合的な知識、
○×式でない評価方法などを考えると、生徒に求められる学習負担は
オーストラリアの場合、自国の高校卒業基準よりも高くなるとのことです。
このようなIBプログラムの仕組みを聞いて、一番先に頭に浮かんだことは、
採点する側の客観性と、豊富な専門分野に関する知識と経験です。
世界中でIBプログラムを採用する学校数は2000を超えているとのことですが、
70年代にヨーロッパで開発されただけあって、内容が大学側に高く評価され、
IB卒業者を受け入れない大学は主流ではありません。
「考える」、「調べる」、「(論理を)組み立てる」、「表現する」
などの要素をふんだんに取り入れ、社会ではあたり前になっている、
クリティカル・シンキング(私は論理的、合理的思考と考えています)などを
柔軟に取り入れることができるIBプログラムは、
教育者の一つの理想形として、考えられると思います。
このような情報をもたらしてくれた、オーストラリアで
日本語教えている先生は、生徒たちから「オッサン」と呼ばれているそうです。
この「おっさん」の留学生に対する見方は感動的なものでした。
つづく