フランスの子どもたちの育てられ方
フランスのグルノーブル(68年冬季オリンピック開催地)に69年から20年以上に
わたり滞在し、パリで数店のレストランを経営する方とお会いしました。
異文化でゼロから出発し、複数のレストランを経営するまでに至った彼の歴史は
その「苦労」や「喜び」に関して、大変共感することが多く、あっという間の
2時間ほどの語らいでした。
さて、フランスの富裕層の子女教育について、
彼のコメントは大変印象的でした。
彼らはわが子を赤ん坊のころから「スマイル」
ということを基本に育てるのだそうです。
徹底して、スマイルの価値を尊重し、それを親は実践するのだそうです。
私は2年間の留学で何を学んだかと問われて迷うことなく、
「スマイル」を学びましたと答えます。
学業的実績をあれこれと考え伝えるよりも、自然とその一言になってしまいます。
ほほ笑みには人を元気づけ、自信を持たせる力があると思います。
私が「スマイル」を学習した理由はもう一つあります。
日本での生活で心からの「スマイル」を私は学習することができませんでした。
だから、アメリカ生活でいろいろな場面で大人も子供も共通に心から「嬉しさ」
を表現するその文化に深く感動しましたし、学習もしました。
彼らの表情、表現を私は日本で見たことがなかったのです。
(特にSmile for MilkのTVコマーシャルでいろいろな人のスマイルが
極めて強く印象に残っています)
アメリカ大使館でビザ面接を待つ日本の人たちに、若い領事がマイクを取り、
Smileと言ったことを以前ご紹介しましたが、この一言がどれだけ、
人々を和ませ、元気を与えたことでしょう。
スマイルは人類のみができる表情ではないでしょうか。
日本で高名な哲学者である梅原猛さんも「笑う」ことの真実を
まじめに研究されています。
嬉しさの表現には嘘がないように思います。
寂しさや不安をそっと払拭してくれるやさしい力がほほ笑みにはあると思います。
モナリザはそれゆえに、人類の遺産として永遠にその価値を損なわないと思います。
10代の人たちが、異文化の中でそれぞれのスマイルを
学ぶことの応援ができればと思っています。