中学・高校留学-グローバルマーケットに対応する人材育成のために
韓国を代表する多国籍企業、サムスン電子の純利益は、驚いたことに
日本のメジャー電機メーカーすべての純利益を上回る金額だそうです。
Wikipediaによると、「2003年にはサムスン電子の年間純利益が
100億ドルを突破し、世界で9番目、製造業ではトヨタ自動車に次ぐ2番目の
純利益100億ドル企業になった」とあります。
この情報は私がお世話している生徒のあるお父さんからもたらされました。
ゼロから会社を立ち上げ、努力と経営的才覚で精力的に会社を切り盛りし、
わが子の教育については、自ら「子供紹介データファイル」を作成して、
学校訪問に臨み、かつ1500キロのおよぶドライビングをほぼおひとりでこなす、
スーパーお父さんです。
「ドライブを替ります」と私が言うと、
「いや、大丈夫ですよ」とさらっと言われて、豪雪に見舞われながらも、
完走を果たしました。
本来なら、後部座席でのんびりとしている立場の方かもしれませんが、
口には出さなくとも「わが子のためだ、これくらいなんだ」という気迫が
感じられました。
そんなお父さんの口癖は「企業は人なり」です。
サムスンがあっという間に日本の電機メーカーを追い越して、世界のサムスンに
なった背景には必ずや「グローバル人材」の登用があるいう意見で、
私とお父さんは一致をみました。
世界を理解できる即戦力を採用するという基本から見えてくるのは、
・英語が話せて当たり前
・コミュニケーション能力が高い
ということに集約されると私は考えます。
ボーディングスクールを代表するチョート・ローズマリー・ホールに
純粋日本人の留学生が一人もいない中で、
韓国からの生徒が21人もいる事実はこれからの両国の世界戦略を考えた場合、
私は「これでいいはずがない」と切実に思っています。
「英語でのコミュニケーションが必要なら通訳で十分」ではないと私は思います。
グローバルで企業を考えた場合の組織やシステムの原理は、まず相手の文化を
理解できなければ、自国の持つ特性を生かせる方法も、相手との交渉も、
戦略的思考も内向きにならざるを得ないと思います。
専門性、特殊性が問われるなかで、それを生かすためにはベースとなる
人間力がどうしても必要で、その基本は自立の精神にあると私は確信します。
自立の精神を形作るものは、自分への自信、プライドがコアではないでしょうか。
そのために、みなとてつもない努力をし、何度も挫折や失敗を経験し、
それをひとつひとつ跳ね返す過程で精神が錬られるのではないでしょうか。
英語は話せてあたりまえ、苦労は早いうちがよい、世界はなるべく早く見せ、
感じ、吸収してこそ、初めて明確な「自己主張」の土台が築かれるのではと、
私は思います。
そのために、前述のお父さんは、労を惜しまず、彼のできる範疇で思考し
子供たちの中高時代の留学を具現化したのだと思います。
留学はあくまでも手段です。絶対よい人生が留学によって100%保証はされません。
しかし、日本が高度成長期を終え、バブルが崩壊し、終身雇用や、
年功序列の旧価値観で企業が動かない現在、そもそも人生を
ギャランティーする集団などないと私は思います。
2次大戦後、奇跡ともいえる復活を遂げた日本、
私はその精神はそのままに、プライドを持ち
刻々と変化する世界を真正面から受け止め、
対応することを現代の若者に希望しています。
留学で見えてくるもの、それはあくまでも留学した一人ひとりが、
自分で探し当てるものではないかと思います。
日本を離れ、親から離れ、友達から離れ、さみしいかもしれないが
世界は公平に若者の気概を試す環境を与えれくれると私は思っています。