夢とは自分自身が描く物語-ウィスコンシン大学数学科博士課程 小山雅典君
お父さん海外赴任がきっかけとなり、
高校2年生でアメリカ留学をした小山雅典君は
現在、ウィスコンシン大学マディソン校、
数学科の大学院博士過程で学ぶ大学生です。
中学のころ、日本語をローマ字で書けば英語になると、
雅典君は本気で信じていたそうです。
私はあるご家族の依頼で彼の高校Wyoming Seminaryをそのご家族と一緒に、
訪問したのですが、熱く母校を語り、説明してくれた律儀な彼の姿は、
私のこころの引き出し今でも鮮明なファイルとして残っています。
彼から新年の挨拶をメールでいただきました。
これから留学を目指す皆さんのために、彼は快く私の質問に答えていただきました。
ご紹介させていただきます。
・留学時代に最も苦労した点とそれを克服した経緯を教えてください
留学を開始した時点では理数系がアメリカ人に比べてさえ相当遅れていたので、
勉学では全ての分野において苦戦を強いられました。
また、周囲の日本からの留学生は私には遊び半分と感じられ、
自国や自分について非常に自虐的になり、
自分のアイデンティティについて大いに悩みました。
未来への不安にかられてがむしゃらに勉強はしました。
勉強はまもなく軌道に乗せることができました。
アイデンティティの悩みは続きました。
大学でピアノを始め、周りの人たちと交流し、
日本の工科系の大学から交換留学で来ていた人たちともたくさん語りました。
自分やっていること、夢、希望、将来、文化、社会、人間、家族、友達・・・、
僕は世界観を広げることができました。
周囲に助けられ、励まされ、私は自分のアイデンティティを、
作って行くことできたと信じています。
・大学では何を勉強し、中高時代との違いは何ですか。
大学では数学、特に表現論と言われる分野を勉強しました。
中高時代の勉強の動機は純粋な未来への恐怖心だったのに対し、
大学での勉強の動機は興味、気まぐれと情熱でした。
・更なる勉強継続の動機は何ですか。
お恥ずかしながら、僕の夢は純粋に、自分にぴったりのお嫁さんを見つけ、
その人と人生を全うする幸せを育む事です。
人生を共感し、様々な環境で生きのびていけるための柔軟さ、
それを鍛えるということが、僕の旅(勉強)継続の最大の動機です。
当面は、応用確率論という分野でPh.Dを取得し、
世界の様々な場所で「発言権」を得て適応力の強い人間になる事を目指します。
・あなたにとり、日本とは何ですか。
日本とは僕の哲学、そして魂の根底です。
この10年で僕は、夢とは現実の社会のみに象られた「目標」ではなく、
フィクションを含んだ、自分自身の描く物語であると信じられるようになりました。
僕を支えてくれる家族、先祖、友人の魂、我が愛する母校ハービーマッドの魂、
彼らのくれた言霊、そして八百万の神を信じています。
自分に関わる周りの存在全てに魂を見いだす日本の哲学は、僕の原点です。
そして、夢と共に生きるDriving Forceです。
諸外国と違い、多極主義どころか、八百万極である日本の哲学や倫理が、
日本が日本たりえる最大の理由であると僕は思うのです。
・あなたの専門知識を一言で言うと何でしょう。
また、あなたの将来にどのようにして専門知識を役立てたいですか。
僕の知識は自分の靴であり、衣服です。
夢の道を歩いていくのに僕が使わんと準備している道具です。
数学という言語を使い、様々な人と交流し、自分の多様性と柔軟性を
高め、違う分野の人たちの架け橋となることが出来ればいいな、と思っています。
小山 雅典
ウィスコンシン大学マディソン校数学科
彼の留学歴は自身のHP(http://www.math.wisc.edu/~koyama/cv/)で公開されています。
ぜひご覧になってください。