留学生への学資援助と奨学金
10月は北米をはじめとしてボーディングスクールから
生徒募集のために、たくさんの入試担当者が日本を訪れます。
毎年、この時期に多くのボーディングスクールの入試担当者と会って意見交換をしますが、
今年の話題で大きな時間を占めているのが、いかにしてこの世界的経済不況の中で、
在校生および新入生からの学資援助や奨学金の依頼に学校が答えられるかということです。
ボーディングスクールで学ぶ生徒で奨学金を受けている人の割合は、
在校生の30%程度といわれていました。
今までは、ほとんどが自国の生徒からの申し出であり、
留学生の親からの申し出はほとんどありませんでした。
しかし、ここ2年間くらいはアジアからの留学生に対しても、
学資援助や奨学金の申し出が急増しているとのことです。
以前と違い、留学生の学資援助や奨学金の申請は現地生徒同様に、
検討され、支給される可能性が高くなってきました。
支給額はフルスカラーシップとよばれる全額支給から、
学費の20%相当額までが一般的です。
費用の援助を受けられる生徒の基準は基本的には成績が優秀であることですが、
その他にもスポーツ、芸術の分野でも秀でた実績のある生徒が、
援助を受ける対象となりうる可能性はあります。
私は以前に2名の生徒の奨学金申請をしました。
両名ともそれぞれの学校より奨学金として年間5000ドルを認められました。
この二人に共通していたのは、彼らが自分たちの学校が大変好きで、
勉強面でも、生活面でも、積極的に参加しているということでした。
成績はいわゆるストレートA(オール5)である必要はありません。
スポーツ、芸術も必ずしも入賞の実績だけが奨学金の対象になるわけではありません。
のびのびと学校生活を送っていることは自然と行動に表れます。
奨学金が認めら、2人とも無事にそれぞれの学校を卒業し、
それぞれが大学進学を果たしました。
日本、アメリカの経済状況が急激に好転するかどうかは、未知数だと思います。
そのなかでボーディングスクールは、生徒たちを守るために積極的に活動しています。
ボーディングスクールは学費が高く、手が届かないものと思われがちですが、
教育機会の平等性を守るための伝統を築いている学校群でもあるのです。