第4章‐7 サマースクールについて
サマースクールの詳細についてはこちらをご参照ください。
生活面ではサマースクールは正規の長期留学生活の縮図といって差し支えありません。
一ヶ月あまりの期間に様々な出来事が起こるサマースクールは、留学先を決定している生徒にはもちろん、将来的に留学を検討中の生徒にとっても自分を試す良い機会として活用できます。人間関係における衝突、盗難、食事の良し悪し、体調不良、週末の外出など、ボーディングスクールならではのルールや共同生活に戸惑い、悩み、落ち込むことも体験できます。27年間海を越えていく生徒たちを見てきましたが、その成績や過去の経歴に関係なく、皆一様に生きていく力を発揮します。子供たちは、サマースクールで一ヶ月あまりの寮生活を体験し、それらの経験や印象を良くも悪しくも自分の心に十分に詰め込んで帰国します。
学習面については生活面と比較して長期留学の縮図的色彩は少ないと言えます。英語力が十分にある生徒を除いて、基本的にサマースクールでの英語の勉強は現地の生徒とは別に行われます。英語を母国語としない生徒の為の授業に参加するのです。
サマースクールという機会でいかに自分が英語を知らなかったかを事前に認識できた生徒は、そのワンクッションのおかげで正規の長期留学が開始されてから大変英語力を伸ばすことが出来るようです。
受験英語を勉強していた、いわば井の中の蛙が突然海を越えてしまうわけですから、これは相当なインパクトでしょう。
かの夏目漱石でされ、異文化にとんでもないショックを受け、下宿先に籠り、自殺をも考えたと言われています。
しかしながら、サマースクールの良いところはいくら落ち込んでも、絶望しても一ヶ月あまりで終わりを迎えるところです。井の中の蛙が海外で自分を見つめなおす機会を与えられ、一時的なショックを受けると、いわば精神的なやけどを負います。楽しみと苦労が隣り合わせにある体験だからこそ、生徒と学校のマッチングを真剣に考え、本当に生徒に合った環境に送り出してあげること。
これこそが大事なのだと私は考えています。
もしも日本にいて、ぬるま湯の中でもやもやと考え、行動をせず、ただただ過ぎていく時を過ごしているうちにもぬるま湯はだんだんと熱くなり、ゆで蛙になってふやけてしまうより、多少精神にやけどを負ったとしても、自らの決意で行動を起こし、海を越えるほうがかえって生きる力というヒトの本能に立ち返れるのではないでしょうか。