留学コンシェルジュ

3章-1 親のすべきこと-誉めること

一年間の交換留学と異なり、ボーディングスクールへ留学する人の9割以上は卒業を目的とする留学です。英語力が十分に備わった状態で渡航する生徒はほとんどおらず、平均滞在年数は3年間ほどとなっています。小学生のうちから留学を考え、中学1年ないしは2年頃から渡航して高校卒業後は英語圏の大学へ進学するケースも多くあります。中学・高校時の長期留学は本人の生き方を左右する選択となります。留学する本人は未成年ですから、必然的に書類作成や支払いなどに親が積極的に関与することになります。詳しくは第四章、五章でご紹介しますが、ボーディングスクールは理想的な教育環境の為には親の参加が重要だと考えています。
「わが子を誉めること。」
これがボーディングスクール留学成功の大原則です。


親曰く-「勉強はしないし、親の言うことも聞かない。家では自分の部屋にこもっているか、怠けているかでしょう。そして、家を出たかと思うとなかなか帰ってこないし、連絡もしてこない。誉めたくても誉めるところがないんです。」それでもわが子のよいところを誉めてあげてください。必ず長所を見つけられるはずです。また、「他人の釜の飯を食う」ということを考えて家族で話し合う時間をもってください。留学中はもちろんですが、渡航前の家族の精神的な支えも留学成功の大きなカギとなります。
英語のハンデがある中で、毎日宿題と戦い、ゼロからの友人関係を築き、慣れない食事を食べ、時に文化の違いに押しつぶされそうになることもあるでしょう。子どもたちはどうしてあえて苦労を背負う覚悟を決めるのでしょう。
留学をする子どもたちはとんでもないハンデを抱えて海を越えていきます。
その内心は不安でいっぱいで、プレッシャーも相当なものです。その中で彼らが親に認めてもらいたいもの、それは彼らの「いつまでも親に甘えていられない。」「どうにかして自分を変えなきゃ。」という気持ち、すなわち「精神」ではないでしょうか。しかし、その気持ちを素直に表現できる子どもは稀です。口に出すのが怖いのか、嘘と思われたくないのか、彼らは海を越える夢を見続け、こころを暖め、時としてじっと燃やしているのでしょう。大人から見ればやっかいなプライドですが、子どもたちにとっては大切なものです。
なぜ子どもたちの精神はそれほどまでにナイーブで臆病であり、内にぎらぎらと熱く燃えている割にはその気持ちを表現できないのでしょうか。おそらく、それは子どもたちが学校社会の中で小さい頃から慣らされてきた、自分の位置づけ(アイデンティティの主張)への怯えなのでしょう。すなわち、成績、スポーツ、芸術などにおいて優れていると良い、そのような評価がないと差し障りなくフツウとされる慣習です。多くの家庭でもそれを基準に子どもとのコミュニケーションがとられています。ゆえに、ナンバーワンでなくてもいい、オンリーワンだからなどという考え方が受けるわけです。しかし、ボーディングスクールはオンリーワンを当たり前と認めながらも、それで満足してはいけないと教え、チャレンジを忘れてはならないと繰り返します。
わが子を誉めることは親の義務の一つだと私は考えます。
その為には、子どもとのコミュニケーションが必要で、それは決して一方通行であってはいけません。留学をする子どもは海を越えて日々様々な問題にぶち当たりながらも、自分を探す旅の途中で必死に生きる技術を学んでいきます。子どもにとってその精神の美しさを最も身近に感じていてもらいたい存在は自分の親に決まっています。子どもたちは信じていてくれる人がいるからこそ、どんな社会や文化にも適応していくことに挑戦できるのです。メールや電話などのコミュニケーションを通じて親が本人に語りかけ、伝えてあげられることは社会経験が豊富な年齢ですからたくさんあるはずです。環境が違えども、子どもの話す言葉に真剣に耳を傾けられれば、的確なアドバイスは必ずできます。そのやりとりは親子の絆をさらに深く、強いものとし、そこから子どもたちの精神は落ち着き、自信が生まれ、強いてはナンバーワンにチャレンジする心を持ちうるのでしょう。
恥の文化や謙譲の美徳を重んじる日本文化を背景に持つ私たちは、欧米のように自分の意見を表現しません。和をもって尊しとなすのであって、独りよがりは慎むことが私たちの社会のあり方でもあります。しかし、その日本社会であっても世界の変化を無視できないようです。社会に出れば自分の意見を求められ、自発性が評価される社会へと転換する動きが見られています。海を越えても親子は親子、その絆は距離を超越して子どもたちの支えとなるのです。

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