#6 ボーディングスクール共通願書-エッセイの重要性
アメリカボーディングスクールおよび大学入試において、エッセイの合格に占める割合は、日本のそれと比較してかなり大きいのではないかと思います。そうでなければ本人の志望の動機のみならず、読書壁、学習壁、性格など5項目にもわたり質問肢をつけるわけがありません。
5つからなるエッセイ、文字数に換算すれば3000字以上にもなります。日本語換算すれば、原稿用紙で12枚以上になりますが、英語の場合、1単語で1文字と数えますから、そのボリュームは日本語よりもはるかに多くなります。このエッセイを一つひとつ読んで、その内容を判定するという受け入れ側の作業はその時間と労力を考えると大変な作業です。
志願者のエッセイを点数化し、他の合否判定要素である成績、推薦状、成績外実績などの数値化と合わせて合計点数で判定するということがおそらくアメリカでは行われていません。
では、エッセイを書かせる意味はどのようなところにあるでしょうか。
今までのアドミッションスタッフや学校長など、入試に関係する人たちの意見を総合すると、志願者のユニークは考え方、奇抜なアイディア、発想、着眼点などを見ているのではないかと思います。
ボーディングスクールでは、独自性、個性、ユニークさなどはとても尊重されます。そこに彼らの教育の基本があるといっていいと思います。make a difference、you are specialと生徒たちは先生に鼓舞されます。同じことを覚えることよりも、人とは違うように発想して行動することが良いとされるがゆえに、小さなクラスが成り立ちます。おのずと、先生も個性的な授業を展開し、生徒との徹底したコミュニケーションがそこでは図られます。
日本と違って、教科書は先生自身というということもボーディングスクールでは成り立つと思います。そのような学習環境であるがゆえに、一人ひとりが違った視点を持ち、日常のクラスでそれをぶつけあうことで生徒たちは成長するとボーディングスクールの先生たちは確信していると思います。
エッセイが重視される理由は、学習力という視点ではなく、発想力という視点をボーディングスクールが重視していることの証ではないでしょうか。