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日曜コラム 学校訪問、旅の効用

教育コンサルタントにとって学校訪問は最も重要な活動です。
それぞれの生徒に合った学校を選び出し、訪問予約を取り、
飛行機と地上交通(主にレンタカーですが)を手配いし、
生徒と同行家族に訪問スケジュールと要点を説明、
1週間あまりの旅を主導するのですが、
この10年間ほどで100万マイルを超える距離を飛びました。
毎年平均すると10回くらいは海外に出ていたことになります。
旅することが好きでないとコンサルタントは務まらないと思っています。
私の好きな作家、司馬遼太郎さんもとても旅が好きだったように思います。
「アメリカ素描」という彼のアメリカ旅行記を読むと、
それが大雑把に言えば半世紀も前のアメリカについてのことにもかかわらず、
とても面白く、彼の文化論に引き付けられます。
古代ギリシャの歴史家、ヘロドトス、中国の不滅の歴史書「史記」の作者
司馬遷、も旅好きだったと聞きます。
日本が誇る旅をこよなく愛した俳人、松尾芭蕉は
奥の細道の序で、「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」
と述べています。
年すなわち時を、旅人と捉えているこの発想が、
日本人のみならず、世界の人の生き方、あり方を旅を素材にして、
絶妙に捉えていると思います。
古今を問わず、人は旅をすることで多くの啓発を受け、
歴史を回転させてきたのではないかと思います。
旅をすると多くの出会いがあります。
それと同時に再会もあり、別れがあります。
そこに新たな関係が生まれます。
メールのやり取りしているだけの時は、「なんとそっけない」と感じても
会ってみるととても大違いで、人間味あふれた信頼できると
感じたることは、学校を訪問する度に1度や2度は必ずあります。
教育コンサルタントである以上、旅は必須です。
ボーディングスクールに入学する生徒たちは、
長旅を経験することになります。
彼らの旅は、とても長く、そこには多くの乗り越えなければいけない
障害が待ち受けています。
時として、その衝撃の激しさに彼らはうち負かされます。
その度に、人生のどん底を経験することでしょう。
どん底が多ければ多いほど、彼らは強く、たくましくなっていきます。
そのような環境を恨むのではなく、感謝するようになります。
学校を訪問するということは、彼らにとって
険しく、楽しく、そして長い旅の端緒を作ることになります。
そのような旅の水先案内人を務められる教育コンサルタントは、
とてもやりがいのある仕事です。

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