学習力について
日本の学校で成績が良好な生徒は、留学先でもおおよそ良い結果を出します。もちろん、留学当初は英語のハンディ、寮生活という不慣れな生活環境のため相当苦労しますが、その期間はおおよそ半年ほどで終わり、やがて異文化の学校にあっても自分のペースを学んでいきます。
ボーディングスクールに慣れるためには、英語力をつけることのみの学習では不十分です。更には、日本と違い好きなだけ勉強に時間が取れるという環境はボーディングスクールにはありません。
授業を終えてから就寝するまでほぼ生徒のやることは決められていて、彼らが自由に使える時間は1時間もないでしょう。就寝時間も10時ないしは10時30分と早く、夜中の1時、2時まで勉強をすることは、ボーディングスクールでは常識では決してありません。
放課後はスポーツ、芸術、音楽活動などが組まれています。体育の授業がボーディングスクールにはありません。また、日本のようにクラブ活動という形で同一スポーツやその他の文化活動を卒業するまでやり続けるという習慣もありません。
好むと好まざるとにかかわらず、スポーツは年3シーズン制で交代していき、文化活動も例えばミュージカル、演劇であれば年2回の公演が一般的です。
日本の学校と比較するとまるで別世界であるボーディングスクールですが、学習一辺倒の環境にいた日本人留学生にとって、覚え込む勉強を強制されることよりもむしろ他の身体を鍛えることや感覚を鍛えることを強制されるといっていい学習環境で、殆どの生徒が不満や愚痴に終始することはありません。むしろ、今までの学校環境から解放されて、留学生たちは新たな居場所で自分に対して違った見方をすることを身に着けるようです。
受け入れる側も留学生たちを学習力ということだけで評価はしません。学校が期待するのは、生徒たちが自ら率先して学習活動のみならず、スポーツや文化活動に没頭することです。
日本人留学生の学習力は、ボーディングスクールでさらに向上します。それはおそらく、日本の学校に比べて、多様性が増すからではないかと思います。覚えることに限られていた能力が、スポーツや文化活動に触れさせられることで、思いもよらぬ自分の力に多くの生徒が目覚めさせられるのではないかと思います。