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ある学生の留学回想-たくましい生き方

中学から高校にかけてニュージーランドに留学したある学生は、
自らの留学体験で得た生き方を、日本の大学生時代も決して忘れることがなく
社会人となる現在でも根本理念として鮮明にしていると言います。
留学して初年度の混沌が過ぎると、周囲のことが見えてくるようになります。
そこで、彼が感じたことは、ホームステイでの食事の不味さ、
シャワーが好きなだけ浴びられない不便さ、
どこに行くにも、車でないと移動できない。
電車、バスといった公の交通機関のなさなど、日常の不満です。
英語が理解できるようになり、学校生活もマイペースが掴めるようになり、
日々の生活が受け身になり、無限の異文化に対して、
自らが拡大していくのではなく、縮小傾向にある時、
彼はフィジーからの留学生に遭遇します。
その生徒は、ラグビー留学生として国から選ばれた生徒でした。
彼は、ニュージーランドに留学してラグビーを学び、
その世界で有名になることで、自分を留学させてくれた家族を豊にし、
もって国家にも貢献しようと考えているというのです。
この南太平洋から来た留学生のゴールは明確で、彼の行動には
一点のぶれもなければ、もちろん留学生活の不満など寸分もありません。
そのようなことにかかずらわっている時間などないのです。
なるべく早く、目標に到達し、その次に進まなければいけない。
そんなフィジーからの留学生の熱い思いに、日本からの留学生は、
自分を見直す機会を与えられます。
不満など言っている場合ではないと彼は自分の留学生活を見直します。
自ら望んで留学した以上、自らの目標を見直そう。
日常に埋没せずに、大きな目標を立てよう。
日本では考えもしなかった教育を体験していることに感謝しよう。
不満でなく、いいところを見つけて、それを伸ばしていこう。
思考スイッチの切り替えを、フィジーからの留学生は教えてくれました。
とりわけても、その留学生の日々のモーレツな鍛錬による身体能力と、
学習をもないがしろにしないインテリジェンスに、
彼は自分の思考の矮小さに気付かされたのです。
日本には文武両道という伝統があります。
その起源はおくとして、これから社会人となる一人の中等教育留学体験者が、
異文化で学んだ文武両道を意欲的に未来に向けて実践しつつあります。
なんとたくましい生き方を留学は彼に教えたのだろうと
感嘆せざるを得ません。

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