#5 英語の構造-留学生のための英語学習
<昨日のブログに続きます>
留学生が1年間で身に着けた英語力は、文法的には未整理状態のため、自分の英語知識を体系的に広げることができません。また、日常で必然性に駆られて身に着けた知識であるがゆえに、単語数が格段に増えた訳でもありません。
しかし、実践の力は留学生たちの英語力のすそ野を拡大することに大いに役立っています。その証として、彼らは、英語を話す際に日本語を英語に置き換えてはいません。状況に応じて、その場に適した表現を英語で組み立てて、言葉にして表現しています。
英語と日本語の根本的な違いは、動作主の表現ではないかと思います。日本語の場合、通常の会話では、主語は省略されます。しかし、英語では主語、すなわち動作の主人公は省略されません。これを情報として学ぶことはいとも簡単ですが、使いこなすための作業は、「必要」なくして習得する、あるいは身に着けることはとても困難です。
英語環境に身を置いただけでは、この英語構造の理解と応用は身に着くものでないことは、多くの成人が異国で体験するところではないかと思います。
動作の主人公の概念がしっかり身に着けば、「誰」が、「どうする」という英語の語順を脳が受け入れるようになります。これが定着して、「何を」という目的語が配置されて英語表現の8-9割を占めるであろうS+V+Oの文章構造を理解することが出来ます。
あとは、名詞、動詞の数を増やしていけば、おのずと英語表現も豊かになっていきます。そこまでくれば、日本語にはない現在完了形の時間の表現などにも関心を持てるようになります。そして、単純な文章を無理なく複雑化、多様化するための句と節の働きなど、やればやるだけ新たな留学の世界を自らの手で人から言われることなく、拡大、拡張することが出来るようになります。
このような言語学習の柔軟性と吸収力の速さが中等教育機関への留学の大きな特徴と言えます。この効果を最大限に生かすためにも、留学生諸君には、自分が学んだ英語に対する関心を断ち切ることなく、日本での夏休みの時間を大いに活用してもらいたいと思います。