文法-留学生のための英語学習
夏休みは留学生にとって自分の学習の不十分なところを補強するための最適な季節です。学校生活が始まれば、自由な時間はかなり制限されて、自分がやりたいイメージ通りに日常で勉強ができるものではありません。その精神的喧騒から解放されるのが夏休みです。
英語が母国語でない留学生は、英語でのコミュニケーションには慣れてはいるものの、読書課題や作文課題をこなす英語力においては、十分ということはありません。常に自分の英語力の欠点を補う意識と努力が必要になります。
中等教育機関に留学する生徒たちは、それぞれが学びの個性を持っています。その個性を自覚するところから彼らの留学後の学習が始まるといえます。
留学初年度を終えた生徒は、相手の言いたいことの要点を理解すること、自分の言いたいことを簡潔に伝えるということに意識を集中してコミュニケーションのための英語力を習得していきます。その中には、生活の場面で頻繁に出てくる慣用句的表現も多く含まれます。
例えば、Have you been there? Yes, I’ve been there.は生活の場面では良く使うので留学生たちはその意味については理解しています。しかし、beenという単語がbeという動詞の過去分詞形であるというと、留学生の反応は「なにそれ?」ということも珍しくはありません。中学生以下で留学した生徒は、英文法とは縁のない生徒も多いので無理もありません。
このような生徒で、日本で自主的に学習することの習慣に欠ける生徒(実はほとんどの留学生がそうなのですが)は、留学2年目以降、読み書きの質と量を格段に向上させるためには、英語構造の体系的理解、すなわち文法的な知識を日本語で得ることが、最も合理的な学習方法です。それが、彼ら自身で納得できれば、必ず英語力は夏に伸ばすことができます。
納得できるまで考えずに、勉強を避けて通れば、ペラペラと英語は話すことができても、その知的レベルは高くはなく、いつまでたっても留学で最重要な読む力、書く力は伸ばすことができません。
留学生たちが文法に興味を持たず、それに背を向けてTOEFLやSATの学習をするのは、泳げない人がいきなり海に入ることと同じではないかと思います。水際で遊ぶことはできますが、足がつかないところへは行けません。海の中をのぞくこともとても制限されてしまいます。
泳げれば、格段に広がる海の世界を彼らに知ってほしいという意味を込めて私は留学初年度の生徒たちに英語を教えます。
つづく