学ぶことの動機
好奇心を自ら追求すること、「なぜ」という疑問をおろそかにしせず、生徒が学ぶその姿勢を尊重し助長、率先しているのがボーディングスクールです。
中等教育段階では、主要科目の学習はいずれの国でも学びの基本とされますが、それ以外のいわゆる副教科と呼ばれている科目の学習もボーディングスクールでは、可能な限り幅広く取り入れられています。
ボーディングスクールを訪問すれば、その規模の大小にかかわらず、アートセンター、シアター(演劇、ミュージカル、コンサート用)、屋内外の体育施設、ITセンターなど、生徒たちの興味を引くような学習素材が沢山あります。
日本の場合、小学校の時は習い事として音楽、絵画、スポーツクラブなどがありますが、受験準備が本格化する中学校になると自然消滅的に習い事への学習機会は消えていき、好むと好まざるとにかかわらず、単調な暗記と机上の学習に移行していくように思います。
ボーディングスクールでは、ジュニアからシニアにいたる中等教育全体で主要教科、副教科ともに学習機会を学校が生徒たちに提供しています。スポーツにおいては、引退という習慣はなく、音楽や芸術は本人が望めば、個人教授をつけることも、最後の学年まで出来ますし、活動そのものも受験に集中するために制約を受けることはありません。
学ぶことの目的が自分の目指す大学に入学するためということは、十分に理解できますが、それは目標であって、合格してしまってからも同じ目標を持つことはないと思います。生涯続けられる学びは、そこに実行する人の歓びや感動があるからであり、そのことに対する積極的な意識は、本人にとってそれからの人生に大いに役に立つものの、害には決してならないと思います。
あるボーディングスクールの卒業生は、自分の12年生時代を振り返り、学校での生徒会活動、スポーツ活動、受験準備、通常の授業の課題など、中等教育時代で最も忙しいと述懐していました。
自分が望めば最後まで好きなことをやらせてくれるボーディングスクールですが、それらのやりくりは、生徒の責任で行います。もちろん、アドバイザー、カレッジカウンセラーといった相談相手の先生や専門家がボーディングスクールにはいますから、彼らからどれだけ知恵が引き出せるかも生徒の主体性そのものにかかっています。
組織よりも個人を重んじるのは欧米の文化の特徴です。そして、学ぶことを通じてボーディングスクールが、どのようにして生徒たちに生涯を通じて学ぶ目的を教えていくか、その基本に学ぶ機会を作ってくれるのが、ボーディングスクールではないかと思います。