規格化社会について
今、日本の社会は従来の規格化社会から非規格化社会へと進んでいると思います。規格化が必要な部分は日本でなくても外国でより安価に大量に生産できると思います。
日本だけではありません。
アメリカや欧州の国々も規格化社会から非規格化へと進んでいると思います。当然、両社会で求められることは異なります。そして、教育も社会のニーズに合わせて変化していきます。その最先端は大学です。今の企業や社会が求めていることを感じ取るか、あるいは彼らからの要請に答えるような研究なり調査開発を進めていきます。
世界から注目される大学の傾向を見ると、多様性、専門性、公共性などの教育に関する基本がとても充実していて、なおかつその機会は一国のみならず万人に開かれていることが当然のように思います。
それらの大学に至るまでの道も多様性に富み、公共的な観点からも満足できるものであり、なおかつある程度の専門性も兼ね備えているべきです。世界を牽引できる学問の府としてその使命を全うするために、進むべき未来を確実に予測できなければなりません。
いくら優秀であってもその土台となる「地球」が崩れてしまう危機を、誰もが「あり得る」と想像できるのが現代ではないでしょうか。
日本の最高学府で学ぶある学生から聞いたのですが、その学生は初等、中等教育をアメリカで受けました。アメリカでの最終学歴は、テンスクールズ卒です。教育をアメリカで受けたとはいえ、国籍は日本です。母国に対する潜在的な思慕から日本の大学で学ぶことを決意し、名実ともにナンバーワンの国立大学の教養学部英語コースに9月から入学しました。
9月入学の先駆けとして、日本のフラグシップ的大学が世間の注目を浴びたことを覚えている方も多いと思います。
その学生は母国をこよなく愛している誇り高き日本人ですが、ことさら教育に関しては、日本の高等教育よりもアメリカでの中等教育時代に強い憧れを持っています。
そこには規格化されることのない自由な発想と自分の好きな分野のことを追求することを応援する人たちがいたに違いありません。
ボーディングスクールでは、生徒の個性や特性を規格化せず独自性を追求させます。その背景にあるたくさんの基礎知識の習得は、生徒各自の主体性に任せるという日本ではあり得ない教育方式を100年以上に渡り継続しています。
日本の初等、中等教育において非企画化がより進められる時期にあると思います。