留学初年度の印象-帰国した生徒に聞きました
「あっという間の一年でした。初めのうちは、英語がわからず戸惑うことも多かったですが、そのうちに英語には慣れてきました。」アメリカの東海岸、ボストン近郊のジュニアボーディングスクールで一年を過ごした生徒の感想です。
日本の学校(中学校)とジュニアボーディングスクールの違いを尋ねると、その生徒はIT系の私設の充実を挙げました。3Dプリンター、バーチャルカメラ、ドローン、各種ロボット、レーザーカッターなど10代の生徒が興味を持ちそうな「ITおもちゃ」が200平米ほどもある空間に展開されています。
IT系の学習機材は、どのボーディングスクールに見られますが、入学難易度の高い学校ほど、その空間と内容が充実していると言えます。生徒たちが興味を持つことに学校が投資をすることで、結果として彼らの好奇心が刺激され、満たされる-このプラス思考によって、学習効率も上がるという確信をボーディングスクールは持っているように思います。
今回の生徒は、絵を描くことが大好きでした。自分の作品を展覧会に出すことを先生から勧められて実行したところ、入賞しました。このような学習外の実績も進学にはとても大きな要素となります。
アメリカボーディングスクールの慣習として、美術系の秀逸した作品は売れるということがあります。エキシビションなどに出展された作品を、それを見た先生や保護者の人たちが気に入ると、「How much」となるのだそうです。
「絵画のための筆もとてもいいものが整っています。」とその生徒は言いました。生徒たちが学校の日常で使うものも気を配る。そこまでできるのは、その科目を受け持っている先生の情熱と思い入れ、そして生徒に対する愛情ではないでしょうか。
教える側と学ぶ側が区別されるのではなく、お互いに学び、高めていくと学校は考えているのではないでしょうか。特に、アート系、音楽系、そして技術系の教科は、テストによる評価が重視されません。創造への情熱を分かち合えるところが、ボーディングスクール教育の魅力とも言えます。
体育施設の充実にもその生徒は言及していました。アメリカンフットボール、サッカー、ラクロス、野球のフィールドが独立していて、スポーツの時間には、それぞれのチームが練習や試合に専念できる。日本では、場所が狭いため、フィールドの使用は制限せざるを得ないそうです。
今回話を聞いた生徒、7年生を終えて来年度が8年生です。その生徒、留学前のSLEPは41点、1年留学帰国後のスコアは56点でした。15ポイントの伸びは、とても大きな学習的成長を意味します。本人は、主要科目以外のことを熱心に語ってくれましたが、結果的にこれだけ英語力を伸ばすことができたことが、ボーディングスクールで学ぶ価値ともいえると思います。