日曜コラム 高度1万2千メートル
飛行機に乗ると、地上とは違った体調変化が起こります。
すべて気圧のせいとは言えないと思いますが、
地上と比べると、少量のワインを飲んだだけでも頭が痛くなります。
映画を見ると、とても涙もろくなります。
日曜コラムに書きたいようなアイディアが沢山湧きます。
北米の東部、スイス、ニュージーランドへの国際線はいずれも11時間以上
飛行機に乗っているわけですが、飛んでいる時間が長いとは思いません。
むしろ10時間以下のフライトでは、睡眠、休息、読書、映画鑑賞など
機内での活動のバランスがうまく取れなく中途半端になります。
人の体とはよくできたもので、高度1万2千メートルの上空で
10時間以上も小さな空間に閉じ込められていても、
それなりの適応を起こせるものだと自身の体に感心しています。
ひ
狭い空間、暗い機内、恒に3度くらい上向いているフロア、
気流が悪いところを通過する時の地震のような揺れ、乾燥した空気、
この独特の機内環境が嫌いではありません。
映画を機内で見ると、やたら涙が出るのも、数ある封切映画のなかで、
親子や恋愛などで生死をテーマにしたものをあえて選んで観ているせいも
あるかもしれませんが、この雰囲気が精神に及ぼす影響は、大きいと思います。
同じ映画を地上で見ても、不思議なくらあっさりとながれてしまう、
もちろん涙も出ないということを何度も経験しました。
ワインにしても、地上のつもりで機内で飲むと、
モーレツな頭痛に襲われることが何度かありました。
おそらく、一人きりで、限られた空間で飲むので、
地上でのペースとは違っていることに気付かないのかもしれません。
ブログのアイディアも、電車に乗っている時とは違います。
思考の連鎖がうまく機能して、英語圏で学ぶことのアドバンテージが、
いくつも思い浮かぶという現象が時々、頭の中にもたらされます。
いつもの生活ルーティーンがドラスティックに変化する機内、しかし
飛行機に乗ることは、今の時代、珍しいことではありません。
それが年に10回ほども起こるようになると、自動的に体も心も
それに良くも悪しくも反応するようになるのでしょう。
次回の高度1万2千メートルは、北半球の新学期が始まってからに
なりそうです。