#2 ボーディングスクールとの入学契約
<前日のブログに続きます>
アメリカボーディングスクールと生徒との契約が日本の学校のそれと比較して異なる点は、1年ごとの入学見直しと、授業料支払いに対するかなり厳しい入学者家族への要求にあると思います。
日本の学校の場合、中学、高校に入学するということは、基本的にはその学校を卒業することを意味しますが、北米のボーディングスクールでは生徒の平均契約更新率は75%と言われています。4人に一人は他校に移るということになります。もちろん、平均ですから、テンスクールズやランク4の学校は契約更新率は90%を超すでしょうし、ランク3の学校においては、それが75%よりも低い学校もあるでしょう。
いずれにしても、前日の授業料の支払い条件は、おおよそ学校の入学難易度とは関係なく、共通の条件と言えます。日本的常識では、学校が始まる前、授業は全く受けていないのに、5月31日を過ぎるとなんと、年間授業料すべての支払い義務が生じるなどということは、考えられません。しかし、驚くべきことに、アメリカボーディングスクールにおいては、その条件での契約にみな同意して入学するのです。
ボーディングスクール側にしてみれば、6月からの生徒募集が期待できないために、あてにしていた生徒がキャンセルするということは、学校運営に大きな影響を与えるために、このような条件になるのでしょう。
ボーディングスクールが教育システムとして定着し100年どころか、江戸時代から開校している学校も珍しくないなかで、彼らの学校運営の大変さを象徴するような条件と言えると思います。
授業料保険(Tuition Refund Plan)という概念も日本では考えられません。年間授業料の4-5%の保険料ですから、2000ドルくらいはかかります。それだけの費用を支払って、本人が退学を余儀なくされた場合の未使用授業料の返還を保証するなど、日本では発想だにありません。
契約とは少し離れますが、授業料保険、学校開始前の授業料支払い義務、共にこのような条件が入学の際の契約書に付加されたのは、1990年代の後半だったと思います。すなわち、アメリカの経済的繁栄が下降線をたどっているなかで、生まれてきた学校運営確保のための手段ではないかと思います。
つづく