#3 留学生の英語習得過程
<昨日のブログに続きます>
日本の中学、高校教育に比べて、読み書きの量と質が多いボーディングスクールの教育ですが、この傾向はリベラルアーツ教育の基礎ではないかと思います。中等教育で教えられる内容が、国によって決められていて、それを管理する中央省庁があり、教科書の検定までしっかりと行われている日本に比べ、アメリカ、ボーディングスクールは、先生の裁量で教科書が決められると言えます。
日本では当然のことと思われている「教えられる」という概念が、ボーディングスクールでは、生徒に考えさせる、やらせてみるというように変わります。考えさせたり、やらせたりするからこそ、テストの点数のみでは成績をつけないのが、ボーディングスクールの教育です。この教育方法に慣れるまでの時間が、生活レベルの英語力習得のための時間よりも基本的には長くかかるのも当然のことに思います。
考えてやってみる、発表するということに習熟すればするほど読み書きの英語力も向上していくと思いますが、与えられえたテーマを一つひとつこなしていく過程でその都度、新出単語を覚えたり文法的知識を増やしたりしていくことは、学びの基本からは、かなり非合理ではないかと思います。しかしながら、日々の授業そのものが、とにかく話す、聞くということから成り立っているボーディングスクールですから、その基本は変えられません。
授業の準備と復習に時間がかかる割には、単語数が足りなかったり、知っているべき文法知識が欠落したりするということも留学生にはあり得ます。それでも、授業そのものが楽しければ、留学生活に大きな支障はありません。
この時点で、日本からの留学生が、次の段階への「自覚」を持てれば、TOEFL、SATなどへの独習が形づくられると思います。
英語を話す、聞くということについては、すでにおおよそ克服していて、読み、書きの分野でも与えられた課題をこなす力が持てれば、あとは、余った時間をどのように過ごすかが問題です。
繰り返しになり恐縮ですが、ボーディングスクールがSAT、ジュニアボーディングスクールがSSAT対策に学校として積極的に取り組まないのは、リベラルアーツ系のボーディングスクールの授業がしっかりとできれば、おのずとSAT、SSATは難しくはなく、生徒が自力で高得点を獲得できると学校側が確信を持っているからです。
留学生にとって、読む書くをスタートする時期が英語を母国語とする生徒と比較して10年以上もハンディがあるわけですから、それをどこかでカバーしなければいけないのですが、その場所は、予備校や塾ではなく、ボーディングスクールそのものです。
そこで、どのようにしたら時間を捻出してSSAT、SAT、TOEFLに対応できるか、その準備を自力で考えだせるようになることも、ボーディングスクールの教育の成果ではないかと思います。
つづく