親子で考える留学
中等教育機関への留学は、親と子が連立、共同して考え、
実行することがとても重要です。
子どもの「留学したい」という気持ちのみ、あるいは親の「留学させたい」
という気持ちのみで、留学に至った場合は、時として親子の連携が
うまくいかずに留学直後の不安定な時期に
思いもよらないトラブルが発生することがあります。
その典型が、「話が違うコール」です。
聞いていない、知らされていないという留学生本人から親への発信に、
お母さんたちは、平常心を失うことが多々あります。
留学で最も重要なことは、自ら行動を起こす自立心だと思います。
故に、聞いていない、知らされていないという日本への発信に対する
返信は、「現場で聞け、そして知れ」であるはずですが、
留学した生徒の精神年齢があまりにも低い場合は、
留学当初は親の慈愛と忍耐によって、海を越えての子どもたちの意識の
遠隔操作も重要になります。
留学して4-5か月、あるいは半年くらいまでの時期、
お母さんの果たす役割は、かつてないほど重要と
いっても過言ではないと思います。
中学生時代に留学するということは、日本ではまだまだ一般的ではありません。
この時期に留学することのリード役は圧倒的に親側にあります。
すなわち、親の意思をもって子どもに留学という道を選択させるということです。
その理由は、多種多様ですが、問題は留学を子どもがどのように受け止めて、
決意し、現地に赴くかということです。
不慣れを通り越して、いわば陸の孤島に取り残された感のある
幼き留学生たちは、帰りたいという気持ちに圧倒されることもあるでしょうし、
異文化に対する嫌悪感に満ちてしまうこともあるかもしれません。
それでも、目的を果たすために、留学生たちが孤軍奮闘するのは、
親に対する限りなき精神的依存性がうまく作用しているからかもしれません。
そして、留学生たちは一人では生きていけないということを、
無意識のなかから学んでいくのでしょう。
もちろん、その中核には親の存在があるわけですが、
外郭を取り巻く人々が、言葉や文化習慣の違いを超えた、
人としての思いやりや親切心に満ちていれば、子どもたちは
「渡る世間に鬼はない」という楽観的ながらプラス思考のエッセンスを
留学という経験から学ぶことになります。
Thank youがすなおに無意識に口をついて出るようになる時、
日本に対して、聞いてないコールはもはやありません。
そして、二つの社会の使い分けができるようにもなります。
親子の連帯、それは留学を通じて新たに獲得する
天からの賜物なのかもしれません。