塾文化と寮文化 - ボーディングスクール留学
「ボーディングスクールの近くには塾はないのですか」という質問を、我が子の留学を希望しているお母さんから受けたことがあります。英語圏の教育文化として、塾のような教育機関はないと言えます。
日本では、ボーディングスクールという教育文化は英語圏の国々のようには発展しませんでした。学校には通うものというのが、日本の教育の基本になっていると思います。
塾か寮かを選択するのは、もちろんそこで学習する生徒ですが、中学校からの教育選択肢となると、親子で選ぶというのが現実です。
小学校の後半から高校までを寮生として過ごすという発想で教育文化を展開してきた元の国はイギリスでしょうが、現在ではアメリカのボーディングスクールも世界から生徒が集まってくる人気の学校が数十校になります。それらの学校はプレップスクールとも呼ばれていますが、日本の予備校とは全く教育コンセプトが違うところがとても興味深い点です。
プレップはPreparatoryの約ですが、将に予備、準備という意味です。しかしながら、英語圏のプレップスクールは日本の塾、予備校のように学習に特化するということがありません。すなわち、日本では塾、予備校は入試を突破するために存在しているのに対して、寮生活を中心としたボーディングスクール、別名カレッジプレップスクールは入試を突破するというよりも大学で学習するに足る考え方とその技術を学ぶところと言えるのではないかと思うのです。
入学試験という数時間で終わってしまうことのために、集中して準備するというやり方がいかにも日本人らしい周到で従順な教育形態ではないかと思います。それに比較して、英語圏のボーディングスクールでの教育は、試験対策などは、日本の受験システムあるいは体系では考えられないほどに無頓着であり、無策といってもいいかもしれません。それでも、そこで学ぶ生徒や親たちからは、不満や要求の声は一切ないといってもいいのが現実なのです。
おそらく、英語圏の教育の根本には、有名大学卒業イコール、安定した人生の保証という概念がないと思います。
つづく