楽しい授業の作られ方-ボーディングスクール
冬休みに帰国した留学生に聞くボーディングスクールの授業で、彼らが楽しいと感じたことを昨日のブログに続いて考えたいと思います。
ボーディングスクールの文科系の授業では、映像が活用されます。例えば、シェークスピアは英語圏の中学、高校の一般教養として必須ですが、ロミオとジュリエットなどは今まで数回映画化されています。名場面を読むだけでなく、生徒たちにそれを見せることで、先生も生徒も情報の共有量が増し、その中身が濃くなることは間違えありません。結果的に、生徒の発言も多くなり、授業の質も向上していくと思います。
グループによる学習も留学生をして面白いと言わせる要素を多分に含んでいると思います。4-5人が役割分担をして実験結果を分析したり、不明な点をインターネットで検索したりして、自らの考えや仮説を証明していく過程はもっと知りたい、もっと高めたいという生徒たちが本来備えている好奇心を刺激すると思います。
留学生にしてみれば、今までの知識を増やすことのみの授業と違って、思ってもみなかったかたちで情報が飛び込んでくるだけでなく、その加工の仕方もかなりの自由があるとなれば、つまらない訳がないのではないかと思います。
先生と生徒の距離も楽しい授業ということに大きく影響していると思います。ボーディングスクールを訪問してみればわかりますが、授業を行っている先生はおおよそ話好きです。アートや音楽など、授業の説明をし始めるととにかく止まらないという人が多いのです。ボーディングスクールでは、訪問者に対して授業を公開するのは、ほぼ当然のことと考えられていています。非公開授業などはほとんどありません。
少人数クラス、先生と生徒のコミュニケーションの多さ、学習リソース(資源)の多様性と自由度の高さから生み出されるのは、未知に対する挑戦です。その姿勢を先生も尊重します。
時として生徒が納得できないことについては、先生との議論が過熱することもあります。それを冷静に受け止めることで、実は先生たちも自らを成長させているのではなかと思います。授業が終わっても、2/3以上の先生が学校の敷地内で生活しているわけですから、生徒と先生の関係も入学から卒業までの間に進展があるのは当然のことです。
職を頻繁に変えるのが文化となっている欧米社会ですが、ボーディングスクールの場合、先生たちもそのような文化のなかで、教えることが好きで、子供たちの世話をすることを厭わない先生たちが淘汰されてくことで、楽しい授業が生まれていくのだと思います。