選択肢の多さ-ボーディングスクール
先日、アメリカ、コロラド州にあるコロラド・ロッキーマウンテンスクールのディレクター・オブ・アドミッションスのモーリー・ドレイスさんがオフィスを訪れました。彼女のこの学校でのキャリアは14年だそうですが、ご自身は、テンスクールズの一つ、タフトスクールを卒業して、プリンストン大学で教育を専攻したそうです。
アメリカのボーディングスクールは、マサチューセッツ州とコネチカット州を中心に圧倒的に東海岸地方に多いのですが、「コロラド州という選択はなぜ」という私の質問に対して、彼女は、アウトドア教育の豊富さを強調しました。9年生から12年生の4学年で総生徒数が176名のこの学校では、当然、生徒と先生は親子のような関係であること、自然に囲まれた環境で健全な人間を育成すること、毎年、卒業生の半数くらいがコロラド大学に進学すること、感謝祭休みは、留学生は帰国せずに通いの生徒の家にホームステイをすることを、学校としてサポートすることなどをモーリーさんは強調していました。
広大で多様な自然が展開するアメリカ大陸で発達したボーディングスクールは、この国を象徴するように「選択する」ということを、とても重視しますし、それが彼らの文化にまだなっているのではないかと思います。なぜならば、アメリカボーディングスクールの特徴は、結局、どの学校にも当てはまる共通点が多く、それを選ぶ作業は、学校ではなく、生徒やその家族の側にあるからです。
学校側の人々も、アメリカで生まれ、ボーディングスクールを経験している人が多いので、選択することの自由さと大切さを十分に知っているので、「あなたの学校で学ぶメリットは何ですか」という質問に対する結論は、「出願者との相性の良さ」ということになります。それ故に、実際に学校を見ることが、アメリカボーディングスクールでは定着しています。
実際に、生徒数がほぼ同じ、寮生数も大きな差がない、となると学校訪問をしない限り、相性の良さを追求することはとても難しいことです。日本の場合、私立の中学、高校はその「規格」が国によってある程度決まっていますから、違いは偏差値によって示されるのかもしれません。更に、進学先と照合すれば、学校訪問をしなくても自分が学ぶ学校を決めることは可能になると思います。
北米のボーディングスクールを網羅したポータルサイト、ボーディングスクールレビューには324校がリストされていますが、多くの選択肢の中から自分に合った学校を選ぶ作業については、ボーディングスクールを良く知るコンサルタントが大きな役割を果たすとともに、学校訪問することで、留学する本人のみならず、家族も学校を知ることが重要に思います。