アメリカ、バーモント州、St Johnsbury Academy-授業の進め方
日本では高校で総生徒数が1000名というのは珍しくありませんが、アメリカのTABS加盟のボーディングスクールでは、9年生から12年生の4学年で総生徒数が1000名を超える学校は極めて稀といえます。
前日のブログで紹介しましたが、この学校は通いの生徒が寮生の倍以上いるので、地域に密着したハイスクールとも言えますが、生徒数がこれだけの人数に達していても1クラスの平均生徒数は15名を上回ることはなく、少人数によるディスカッション形式の文科系科目の授業は、ボーディングスクールのとしての特徴を明確に表しています。
先日紹介しました、1年間でTOEFLのスコアを50点も上げた驚異的な英語力の伸びを示した日本からの留学生によると、この学校の成績評価はテストによるものが20%であることを強調していました。後の80%は、宿題や課題学習の出来栄え、授業態度やその参加度によるわけですが、これもボーイングスクールの学習文化を端的に表しています。
その彼に歴史の授業での日本との差を尋ねてみました。もちろん、その目的は暗記が主体かそうでないか、もしそうでなければ歴史の授業で何をどのようにして学んでいるのかということです。
彼は、日本のようには細かな年代暗記や事件や文化などの発生要因の暗記はないと言います。それでは、何を問題にするか、それは事件や文化の特徴について、先生が問題提起をする、それについて生徒が個々に意見を述べることが可能で、自分の意見の根拠を自らリサーチもするし、先生、生徒との意見交換で深めていくというものです。もちろん、言いっぱなしではなくて、自分の考えを文章にして提出する必要があるのです。そのようにして、ボーディングスクールにおいては、読む、書く、討論、議論、発表がうまく機能していると言えます。
この学校、12年生の最終学年にはキャップストーンプログラムという、各生徒独自の研究課題に取り組まないといけません。キャップストーンというのは、笠石、冠石などと訳されますが、ピラミッドの最長点に乗せる石をイメージすればよく、自分のハイスクール時代の集大成としての研究を前期ないしは後期の1学期で完成させるものです。
ボーディングスクールで生徒数が500人を超える学校は大規模校の部類に入ると思いますが、それらの学校の大きな特徴は、生徒たちが選択できる科目の多さにあるといえましょう。St Johnsbury Academyを例に取りましたが、授業の進め方、評価の仕方、そして最終学年の課題など、その学習文化は大学でのものと相似形であり、そこで学ぶ生徒たちは、高等教育に向けての十分な準備を4年間ですることになります。