ボーディングスクールの授業と評価
ボーディングスクールの成績は中間、期末テストの結果だけで決まるものではありません。それに加えて、授業への参加度、宿題の出来栄え、クイズと呼ばれる小テストの結果が成績評価の対象となります。試験、授業、宿題という3つの要素それぞれが成績評価に何パーセントという比率も決められていて、A、B、C、D、Fという5段階評価がなされます。
授業への参加度が評価されるということは日本ではおそらくないと思います。そもそも40名が標準のクラスにおいては、授業にそれぞれの生徒がどのように参加していいのか、人数が多すぎて成り立ちません。日本式の教育においては、少人数制での意見交換や発表の機会ということについてあまり関心がないようです。
個人の見解を授業で取り上げるのではなく、大人数を同じ条件で教え、テストという手段を用いて競わせることで、生徒のやる気を刺激するのが日本式であるかもしれません。
ボーディングスクールの授業は日本式授業のほぼ反対といってもいいと思います。たとえば歴史学習で、「アレキサンダー大王と豊臣秀吉の世界制覇の野望について」などというテーマは取り上げられても不自然ではありません。
日本からの留学生が、「なぜアレキサンダーは東方の国々を制覇したことが歴史に残り大王という評価までされたのか、それに反して、豊臣秀吉は中国大陸に遠征したが、歴史的には評価されず侵略者で終わっているのか」などの疑問に対して、生徒自らがリサーチしてその見解を示すことは大いに評価されることです。
ボーディングスクールでは、生徒それぞれの視点や発想は大切にされるように思います。「そんなことよりも歴史の基本事項をより暗記することに時間をつかえ」と言う先生は、おそらくボーディングスクールにはいません。むしろ、「それは面白い意見だ、よくリサーチして二人の社会背景、世界情勢などを調べてみてはどうだろう」などと言うに違いありません。
すなわち、覚えるよりも考えることや、試してみることがボーディングスクールでは尊重されます。だからといって、覚えること、暗記することがないわけではありません。そのような基本的なことは、先生が授業で扱うことではなく、生徒が自ら教科書を見て行うことと考えられているようです。