#3 中等教育の目的 社会に出るまでに学ぶこと
<昨日のブログに続きます>
アメリカと日本では、学歴の在り方、捉え方がかなり違っているのではないかというのが、アメリカの中学、高校ボーディングスクールのコンサルタントとしての実感です。
日本では、明治維新以来の教育的伝統として国立大学として東京大学に入学できることがほぼ、無条件で評価されるように思います。もちろん、「それではいけない」という意見もあるのですが、大きな流れは変わることなく続いていて、これからもおそらく変わらないと思います。
日本的に考えれば、アメリカの大学もハーバード大学が頂点にあり、アイビーリーグ校がトップグループ、そして西海岸、東部諸州、南部の州にも著名な大学があり、それらの大学を目指すためにプレップ(準備)校としてボーディングスクールはあると捉えられますが、現実としてボーディングスクールは、アイビーリーグ校に多くの生徒を入学させることや、医学部に生徒を入学させるための特進コースなどを作っている学校は1校もありません。また、偏差値的な学校ランキングを参考にして、アメリカでは大学選択がされることもないでしょう。
高校ボーディングスクールの最難関といわれているテンスクールズなどは、それぞれが独立して大学となったとしてもおかしくないような施設や機能、そして教授陣を持っていると思います。すなわち、どこに進学するかというガイドは基本的には生徒が主体的に決めることであり、それができる最大の準備の場を提供することがボーディングスクールの大きな役目と考えられているのです。
大学を自分で決めるということの有力な手掛かりは、社会にでるために何を準備すればいいかを決めることにあると思います。アメリカの場合、出身大学イコール安定した職業という概念はないのでしょう。それよりも、自分は何ができるかということが最も重要で、入社してそれが証明されなければ、日本よりもかなり早いスピードで進退の結論が導きだされるか、あるいは、その場に甘んじているだけで昇進は望めないということが見えてくるのかもしれません。
アメリカでは、大学院に社会人になってから入学することは当たり前です。むしろ、数年の社会経験を経たのちに大学院に入学したほうが、より現実的になおかつ、広い視野をもって学習に望めるために効率が良いとみなされるようです。
彼らにとって学歴とは、生涯をかけて築いていくものなのだと思います。
つづく