#2 中等教育の目的 日米大学入試の在り方の違い
<昨日のブログに続きます>
日本式の団体重視、集中講義型教育と、ボーディングスクールの個人重視、自主独立型教育について考えています。
昨日紹介した私立高校のみならず、日本の難関私立高校が目標としているのは、東大合格、あるいは偏差値的にみて東大に準ずるような入学難易度の高い大学に入学させることです。一般的に入学のために必要なのは学力です。その学力は日本の場合、高校での成績という結果ではなく、入学試験の結果によってほぼ判断されます。それ故に、大学入試対応型の教育を考えれば、世間一般の教育的ニーズを満たすことになります。
それと比較してアメリカのボーディングスクールが目指しているのは、あくまでも知育、徳育、体育による全人教育で、結果としての生徒たちの進学先大学がアイビーリーグ校でなくても高校側が組織的に進学対策を考えるということはありません。
なぜ、全人的な教育がボーディングスクールで行われるかというと、アメリカの大学入試は日本の全く異なり、テストによる学力判定で合否が決まらないからです。
アメリカの大学にとって、学力とはある一定のレベルを超えていれば、それ以上の特殊ともいえる知識は問いません。留学生を例に取れば、TOEFLは100点以上であれば、それ以上の点数での合否判定はあまり意味がないと彼らは考えています。SATにしても同様のことが言えます。
それよりも、運動能力や感性、リーダーシップ思考、知的好奇心、ものの見方などが評価されるわけですが、これらの要素のなかで、数値化できないものや選ぶ側の好みという「個人」の見解が入るのをよしとするのがアメリカの社会ではないかと思います。
ボーディングスクールでは、ウェブで学校職員の学歴を公開しています。更には、個人情報という観点から見ると問題視されそうですが、各自の顔写真も任意だと思いますが、公開されていて、9割くらいの学校職員、教師が写真付き経歴書をだれでも閲覧できます。
その学歴で驚くほどにアイビーリーグ校出身者が少ないのです。しかしながら、ボーディングスクールにおいては、多くの職員、教師がその学校の出身者なのです。
アメリカ社会での学歴重視が日本のそれとは実はかなり違うのではないかと私は思います。すなわち、アメリカにおいては、どこの大学を出たかということよりも、あくまでも大学で何をまなび、それをもって、会社や組織にどのような具体的な貢献ができるかが問題なのではないでしょうか。
つづく