#6留学生たちの今-部下と上司
<前日のブログに続きます>
国際性というとても漠然としていて広い範囲で用いられるこの言葉を英語力という視点から考えてみたのが昨日のブログですが、今日はT氏から聞いた彼の部下や上司について「国際的視野」から述べたいと思います。
T氏いわく、日本でのみ教育を受けた人は、たとえそのレベルがいくら高くても、おおよそ多国籍の会議では、発言が期待できないと言います。会議に向けて十分な準備をして、自分の順番になったときは、台本通りに進めればいいのでしょうが、質問やコメントを求められても「No」で終わってしまうことは、私の学校訪問においてもいつも経験することです。
組織が重んじられる日本では、会議はその準備が多くを占めていて、意見の交換やコメントなどはあまり重視されないのかもしれませんが、英語圏の国においては、質問意見もないというのは、大きな「?」になるのではないかと思います。
T氏は、自らの経験をもとにして、自分の部下には海外に出る機会をなるべく増やし、異文化を理解することを社内でも推し進めていると言います。T氏は、日本人でありながら、高校、大学、そしてその後大学院を含めて10年あまりをアメリカで過ごしました。当然のことながら、日本の組織の現地法人ですから、彼は自分の上司は日本人が多く、自分が最もかかわりを持つ現場の人たちはアメリカ人だったわけです。そこで、円滑に組織を機能させるために何が一体必要なのか、おそらく、迷い悩むことも多かったと思いますが、行動しないと会社は待ってはくれません。
現場の意見は英語であり、それを理解して対処するのは日本の組織です。上司に対しても率直に自分の意見を述べていかないと、現場の人たちは納得しないということを一番理解していたのがT氏だったと思います。
このような世界では、自分の出身の大学がどこであるということは関係ありません。
T氏は日本の大学を出た人たちの意見が、漠然としていて、彼らが会社で何をどうしたいということが良くわからないことが多いと言います。
たとえば、「会社を通じて社会貢献がしたい」、「いろいろなことを会社で体験することによって、自分を高めていきたい」など具体的に何をどうしたいのかが解らないことが多いのだそうです。
彼らが伸びていくには、おそらく、異文化のインパクトがとても重要なのではないかと思います。ガツンと自分が想像もしなかった問題に直面して、解決策を見出す力と勇気を持つことが、国際性の根本にあるのではないかと思います。