#4 留学生たちの今-親への感謝
<土曜日のブログに続きます>
留学を成功に導く根本意識は感謝の気持ちにあると思います。自分を支えてくれる多くの人がいるからこそ、異文化のなかでも自分が生きていけるし、成長もできる。その道を開いてくれたのは、自分の親だと気付くまでに10台の若者たちはそれほど時間を必要としません。
「留学をさせてくれた親に感謝しています。それほど勉強が好きではありませんでしたが、親は私の留学を認めてくれました。」とは、T氏が私に言ったことです。
留学してから、27年目にして、T氏が私と会うきっかけとなったのは、彼がお父さんと高校時代の昔話をしていて、私の名が出たからだと言います。そして、T氏のお父さんからもメールをいただきました。
私は、T氏のお父さんからのご連絡に、懐かしいというよりも意識が瞬時にして当時に逆戻りしたような気がします。
そして、T氏のお父さんとの会話を思い出しました。インターネットのない時代ですから、留学すれば本人との連絡は極端に制限されます。更に留学先はアーカンソー州という今まで聞いたこともないようなアメリカの州ですから、T氏のご両親の不安は相当なものだったでしょう。それでも本人が「行く」というので、ご両親も決断をしたわけですが、お父さんとの留学前、留学後の会話が不思議と今でも思い出されるのです。
T氏は、42歳ですが、留学させてくれた親に心から感謝しています。中学校を卒業してすぐの高校留学は珍しい時代でした。もちろん、今でも高校生の卒業目的の留学が全高校生の1パーセントにも満たないわけですが、今から27年前、バブル経済真只中の日本では、高校時代、留学しなくても十分にやっていける機運で満ちていました。さらにT氏は英語が特別できるわけでも、学業に特別秀でていたわけではなかったのですが、ご両親は彼の留学を実行したのです。
T氏が世界に販売ネットワークを持つ日本の企業で存分に活躍できるだけでなく、アメリカで仕事をしていた時に、「社長賞」を2度も獲得した異例の努力と工夫ができたのも、高校時代から留学が出来たからこそと本人は語ります。それを、彼自身が親への感謝で表せることが、T氏の人間性なのでしょう。
彼が一般的なエリート経歴ではないなかで、日本を代表するような大企業でのびのびと活躍できる原点になっている原点に、「親への感謝」があると私は確信します。