#8 協力・団結について ― ボーディングスクール留学
ボーディングスクールにはStudent Handbookという生徒のためのマニュアルがあります。どのボーディングスクールにも必ずあります。内容は、学校の機能の解説です。日本の学校の生徒手帳よりもかなりボリュームが多いのは、そこに網羅されている内容が学校規則にとどまらず、成績評価の仕方、職員の連絡先、生徒の行動規範、罰則規定、年間のスケジュールなど、特に新入生にとって参照すべき内容がぎっしりと詰まっているからです。
今日の表題、「協力や団結」とこのStudent Handbookの関係ですが、個人の個性や特性を大切にすることを強調し実践もしているボーディングスクールですが、スポーツ、課外活動、音楽、芸術、そしてグループによる研究や発表においては、協力することや団結することをとても重く見ます。
どのボーディングスクールでもサッカー、フットボール、野球、バスケットボールなど主要な団体競技には、必ずと言っていいほどとても立派な観戦スタンドが用意されています。総生徒数が4学年で300人余りの学校規模が平均のボーディングスクールですが、観戦する人は生徒の保護者ばかりではなく、先生やその家族、そして学校関係の人たちなどで、ホームの試合には大きな盛り上がりを見せます。勝利に鳴らすベルがどの学校にも用意されていていることが、成果のための団結や協力が重視される象徴のように思います。
ボーディングスクールの団結の精神は、スポーツイベントだけではなく、オーケストラ、アンサンブル、バンドなどの団体による音楽活動、絵画やクラフトなどの生徒による共同展示会、地域社会へのボランティア活動、グループによる研究や調査にもふんだんに取り込まれています。
個人を大切にするからこそ、その連帯であるグループのまとまりが重要というようにボーディングスクールでは考えられていると思います。日本では最初にグループの和が大切であり、そのバランスに個人があるように思いますが、欧米では個人の連帯としてのグループが形成されて、その目的を共有することで、お互いの存在が尊重されるという考え方です。
ボーディングスクールの絆、生徒間の繋がりはかなり強く、多くの卒業生たちが母校というイメージを明確に持っています。その思い入れは、大学の同窓会よりも深く強いのではないかと思います。
中等教育時代の友情や生徒同士の交流は、その後の彼らの人生に大きな影響を与えると思いますが、その根源に親元を離れて、「同じ釜の飯を食う」という精神が異文化の中でも生きていることにこれからの世界を作る大切にしたい精神があると思います。