日曜コラム 錦織圭選手 ベスト16進出
テニスのウィンブルドン選手権で錦織圭選手がロシアのアンドレイ・クズネツォフ
選手を破り4回戦、ベスト16に進出しました。スコアは7-5,6-3,7-5と3セットストレート勝ちですが、ATP(プロテニス選手)世界ランキング42位の格下の相手に見事に快勝という試合ではありませんでした。
錦織選手が2セットを先取したところで、雨のため試合は2時間以上中断されます。試合再開となり、3セットが始まりましたが、錦織選手はいきなり自分の試合をブレークされクズネツォフ選手に3-0とリードを許します。
全仏オープンのガスケ選手に雨の中断後にひっくり返された試合が思い出されます。
このままでは、サービスが強く、フォアハンドストロークが随所でウィナーとなっているクズネツォフ選手に押し切られると思ったところに、またしても天気雨が降り20分程度試合が中断されます。
ここから錦織選手は、クズネツォフ選手のサービスゲームをブレイクして3-3にスコアをイーブンに戻します。結局、6-5で迎えた錦織選手のサービスゲームをストレートで勝利しこのゲームを制しました。
余談ですが、この日、私自身も4時間ほどテニスをしました。とても蒸し暑い日でした。チャンスでのミス、サービスゲームでのダブルフォルト、浅い球の返球にウィナーを取られるなど、いいところなく3-6、2-6、1-6で負けてしまいました。
スコアからすると、完敗なのですが、競っている肝心なところで、浮いてきたラインぎりぎりに落ちる球をネットにかけたり、短く低く返球された球をネットにかけてしまったりと、勝てないことには明確な理由があり、それを修正しない限り、勝利はないことがわかってきました。
錦織選手の3回戦は、力で押す相手に対して、力任せの真っ向勝負ではなく、球の角度や強弱などを細かく変化させて、チャンスを粘り強く待つという冷静さと技術の高さが感じられました。しかし、彼の表情はうつむきがちで、勝利したときも明るい表情のなかにも憂いを秘めているように感じました。心は次の試合以降を見つめているのかもしれません。
それがプロの世界、とても厳しく、気まぐれで、何が起こるかわかりません。プロといえども、人間ですから。
ここ数年間、無敵を誇っていて、去年からグランドスラムを達成した世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ選手が3回戦でサム・クエリー選手に6-7,1-6,6-3,6-7で敗れました。クエリー選手は現在ATP世界ランキング41位です。
4回戦、錦織選手と対戦するのは、USオープンの決勝戦で負けたマリン・チリッチ選手です。クズネツォフ戦で見せたような冷静さと、状況分析力、そして対処がかみ合えば、錦織選手の勝算は高いと思います。